
退職代行業者から連絡を受けたことのある大企業は、15.7%にのぼることが明かされています。
退職代行の認知度や利用率は高まっているものの、実際に利用を検討する際は不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、退職代行を利用する一連の流れや、行うべき事前準備を解説します。
運営元によるサービス内容の違いもまとめていますので、より有利な条件で退職したい方は参考にしてください。
参考:「退職代行」による退職、大企業の15.7%が経験 利用年代は20代が約6割、50代以上も約1割|東京商工リサーチ
退職代行を利用すると、最短即日で出社が不要になります。
手続きが完了するまでの流れは、以下のとおりです。
詳細を見ていきましょう。
退職代行は、サービスの提供元によって業務内容や料金、サポート体制などが異なります。
そのため、最初は複数のサービスへ無料相談を申し込み、内容を比較するのがおすすめです。
無料相談で質問すべき内容は、以下のとおりです。
LINEの相談窓口を設けている代行業者も増加しています。
気軽に相談できるうえ、チャット履歴が残るため、積極的に活用しましょう。
なお、即日退職を希望する場合は、始業時間の数時間前に対応してくれる業者を選ぶことが大切です。
依頼先を決めたら、今後の流れや利用規約に関する説明を受けます。
契約後はキャンセルできないケースが多いため、不明点や懸念点がないか十分に確認しておきましょう。
退職代行業務は、銀行振込で入金を確認したのちに実行されることが一般的です。
退職代行を実行してほしい日が差し迫っているときは、クレジットカード決済に対応している業者を選びましょう。
申し込み後は、退職手続きに必要な個人情報を伝えます。
ヒアリングされる代表的な内容は、以下のとおりです。
必要事項を伝えたら、実施日や進め方について具体的な打ち合わせを行います。
会社に伝えてほしいことがあれば、必ずこの時点で相談しましょう。
打ち合わせの内容をもとに、退職代行が会社へ退職意思を通知します。
単純な退職意思の伝言にとどまる場合は、一度のやり取りで手続きが完了することもあります。
一方で、調整や交渉が必要になれば、複数回やり取りするケースも少なくありません。
いずれにせよ、状況は依頼者へ逐一報告されます。
代行業者は「今後は本人への連絡は控えるように」と会社にお願いしてくれるため、自分で直接連絡する必要はありません。
万が一会社から連絡が入った場合は、代行業者に相談しましょう。
会社と話し合いがまとまったのちに退職届と貸与品を郵送すれば、無事に退職手続きが完了します。
会社へ返却する物品の具体例は、以下のとおりです。
貸与品の返還が遅れると、身元保証人に連絡される可能性があります。
最悪の場合、損害賠償請求されるおそれもあるため、迅速に手配しましょう。
万が一貸与品の紛失や破損に気づいた場合は、代行業者経由で会社に報告し、指示を仰ぐことが大切です。
退職手続きが完了すると、会社から以下の書類が届きます。
郵送書類は、遅くとも退職日から1ヶ月以内に発送されることが一般的です。
失業保険の受給や転職の際に必要となるため、届かない場合は会社に催促する必要があります。
アフターフォローつきの退職代行サービスを選べば、手続き完了後も支援を受けられるため安心です。
退職後の相談を無料で受け付けている代行業者もあるため、比較検討時の判断材料にするとよいでしょう。
退職代行サービスの運営元は「弁護士(法律事務所)」「労働組合」「民間企業」の3つに分類されます。
それぞれ対応できる業務や費用相場が異なるため、目的に合った依頼先を選ぶことが大切です。
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項目 | 弁護士 | 労働組合 | 民間企業 | |
|
対応業務 |
退職意思の伝達 |
○ | ○ | ○ |
|
退職条件の交渉 |
○ | ○ |
× | |
| 損害賠償請求や訴訟代理 | ○ | × |
× | |
| 費用相場 | 5万円〜10万円 | 2万5,000円〜3万円 |
1万5,000円〜5万円 | |
ここでは、退職代行サービスの具体的な業務内容を紹介します。
依頼者の退職意思や主張を、代行業者が会社に伝言します。
運営元の種類に関係なく、すべての退職代行サービスで提供される業務です。
伝言してもらえる内容の具体例は、以下のとおりです。
|
伝言してもらえる内容 |
具体例 |
| 退職日 | 「○月○日で退職します」 |
| 退職理由 | 「キャリアチェンジのため」 |
| 有給休暇の消化希望 | 「残日数の14日分を退職日までの2週間で消化します」 |
| 未払い賃金の精算 | 「未払い残業代○円を○月分給与とともに支給してください」 |
| 必要書類の郵送 | 「退職書類は退職者の自宅住所に郵送してください」 |
| 連絡窓口 | 「今後は本人ではなく代行業者に連絡してください」 |
伝えた内容に対して会社から何らかの反論がある場合は、退職条件をすり合わせる「交渉」が必要になります。
しかし、民間企業が会社と交渉することは、法的に認められていません。
円滑な退職を望む場合は、労働組合や弁護士による退職代行を検討しましょう。
関連記事:退職代行サービスは弁護士法違反?非弁行為の具体例や法的効力を解説
依頼者が希望する退職条件を実現するために、会社との話し合いや調整を行う業務です。
具体的には、以下のような交渉を依頼できます。
会社と交渉できるのは、団体交渉権を持つ「労働組合」か、法律の専門家である「弁護士」のみです。
民間企業は法律上の制約があり、条件交渉や金銭請求を行えない点に注意しましょう。
会社への損害賠償請求や裁判の代理人は、弁護士のみが請け負える業務です。
以下のような状況にある方は、弁護士による退職代行サービスの利用を検討しましょう。
料金は、ほかの運営元よりも高額な傾向にあります。
訴訟リスクを抱えていない方は、労働組合のサービスで十分な場合が多いため、現在の状況を考慮して判断しましょう。
関連記事:退職代行は弁護士提携だと安全?発生しがちな違法行為やデメリット
退職代行の利用計画を立てておくことで、よりスムーズに退職しやすくなります。
できる限り進めておきたい事前準備は、以下のとおりです。
それぞれ見ていきましょう。
6ヶ月以上継続的に勤務しており、全労働日の8割以上出勤している方には年次有給休暇が付与されています。
日数は勤続年数によって異なりますが、少なくとも1年間に10日以上与えられているのが通常です。
退職手続きが完了してしまうと、有給休暇は取得できなくなります。
事前に残日数を確認し、必ず代行業者に伝えましょう。
たとえば有給残日数が15日間ある場合は、以下のように退職日を調整できます。
有給休暇の残日数は、直近の給与明細で確認しましょう。
参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省
退職代行に依頼するまえに、できる限り会社に置いている私物を持ち帰っておきましょう。
私物は代行業者を通じて郵送を依頼できますが、どこに何があるかを整理できていないと、返送漏れが生じかねません。
持ち帰りが間に合わなかった荷物は、あらかじめ段ボールなどにまとめておくとスムーズに対応してもらえます。
なお、貸与品は返却が必要になるため、あらかじめ会社に持っていくか、自宅で整理整頓しておきましょう。
関連記事:退職代行を利用して荷物を受け取れる?私物回収や返却物の対応を解説
社内ポータルや共有フォルダから就業規則をダウンロードし、代行業者に共有しておくことをおすすめします。
就業規則に則って手続きを進めることで、スムーズな退職を実現しやすくなるためです。
とくに、以下の社内規定は重点的に確認しておきましょう。
民法上、無期雇用の労働者は「2週間前」に通知することで会社を辞められます。
ただし、就業規則に合理的な理由がある場合は、就業規則が民法よりも優先されることが一般的です。
就業規則で「1ヶ月前」などと規定されていれば、それに従うことでトラブルの発生リスクを軽減できます。
代行業者を通じて退職日を交渉したい場合は、あらかじめ就業規則の内容を伝え、方向性をすり合わせておきましょう。
関連記事:退職代行で辞めると退職金はもらえない?交渉のポイントや有給消化も
退職時の引継ぎ義務は、法律で明文化されていません。
ただし、業務を円滑に進めるために、就業規則によって引継ぎを規定している会社も多く存在します。
トラブルなく退職するためには、最低限の引継ぎ準備を済ませておくのが安心です。
後任者へ直接引き継ぐのが難しい場合は、業務内容の詳細や保持しているデータを資料としてまとめておきましょう。
代行業者との打ち合わせにおいて、引継ぎ準備のアドバイスを求めることも有効です。
関連記事:退職代行を使えば引継ぎしないで辞められる?リスク回避の方法を解説
以下の状況にあてはまる方は、無理に自分で対応せず、代行業者への依頼を検討しましょう。
それぞれ解説します。
会社側との直接的なやり取りを避けたい場合は、退職代行が役立ちます。
とくに、以下のような状態に追い込まれている方は、無理をしすぎないことが大切です。
心身の不調を抱えている状態が続けば、日常生活や転職にも悪影響を及ぼします。
精神的な限界を感じるときは「将来をより充実させるための選択肢」として退職代行の利用を検討しましょう。
会社が以下のような反応を示す場合、退職代行業者に間を取り持ってもらうとスムーズに手続きが進みやすくなります。
引き留めに遭うことや、揉めることが想定されるときは、労働組合や弁護士による退職代行を選びましょう。
交渉権限を有した相手であれば、会社側も誠実に対応せざるを得ないため、無用なトラブルの抑止につながります。
「明日(今日)から出社したくない」という方は、退職代行に依頼することをおすすめします。
無断欠勤するよりも、退職代行を通じて手続きを進めるほうが、依頼者の立場が悪くなりにくいためです。
とはいえ、当日いきなり退職を伝えた場合、会社側から何らかの調整を求められることは珍しくありません。
交渉が不可欠になるケースも多いため、労働組合や弁護士の退職代行を利用するのが安全です。
不利な条件を回避し、希望どおりの退職を実現するためにも、多数の交渉実績がある業者を選びましょう。
関連記事:退職代行は労働組合に依頼すべき?違法リスクや弁護士との違いを解説
退職代行へ依頼するまえに準備を整えておけば、トラブルなく退職できる可能性が高まります。
希望に合った条件で退職するためにも、交渉権限のある業者を選びましょう。
「即日で辞めたい」とお悩みの方は、東京労働経済組合が運営する退職代行ガーディアンへご相談ください。
ご依頼日当日から出社する必要がないよう、労働組合法にもとづいて会社と調整・交渉を代理します。
LINEの無料相談は24時間受付可能ですので、いつでもご遠慮なくお問い合わせください。
この記事の監修者
長谷川 義人
東京労働経済組合
労働組合代表
プロフィール
高校を3ヶ月で中退しフリーターとなる。その後、20歳で定時制高校に通い25歳で定時制大学を卒業。
Tech系ITベンチャー企業にてBtoB営業からキャリアをスタートし、独立して代表として経営まで幅広く経験。
現在は「令和ならではの労働問題解決」に取り組むため、労働組合法人東京労働経済組合の代表に就任。
適法運営を徹底する退職代行サービス「退職代行ガーディアン」を運営し、日本の退職問題の改善と人材の最適配置を支える新たな社会インフラの確立に取り組む。
違法な退職代行が横行する業界の健全化にも力を入れており、労働者が安心して「次の一歩」を踏み出せる社会の実現を目指している。