
「仕事も人間関係も、もうムリ」
「明日も会社に行くと思うとつらい」
「何もかも疲れたけれど、どうすればいいのかわからない」
そんなときは、今すぐすべてを解決しようとしなくて大丈夫です。まずは目の前の負担を減らし、休める状態をつくることから始めましょう。
「もうムリ」と感じる背景には、仕事量や人間関係、生活への不安など、いくつもの事情が重なっていることがあります。自分の努力だけで解決しようとせず、周囲の人や専門の相談先に頼ることも選択肢です。
この記事では、つらいときに最初に取ってほしい行動から、心身の変化、仕事を休む・辞める判断基準まで解説します。退職を言い出せない場合に利用できる、東京労働経済組合の支援についても紹介します。
つらさが強いときは、「これからどう生きるか」「仕事を続けるか」といった大きな問題より、今日の負担を小さくすることを優先してください。
仕事を辞めるか、人間関係を変えるか。考えることが多すぎるときは、結論を出す作業をいったん止めましょう。
今日することは、「明日の予定を一つ減らす」「相談する相手を一人決める」といった小さな行動で十分です。
ただし、暴力や脅迫などの危険がある場合は、その場から離れて安全を確保することを優先してください。
すぐに返信する必要のない連絡は、後で確認してもかまいません。業務時間外の仕事の通知や、見ると苦しくなるSNSから、いったん離れる方法もあります。
家事や用事も、急ぎでないものは翌日以降に回しましょう。「いつもどおりにこなすこと」を今日の目標にしなくても大丈夫です。
つらさを整理して説明できなくても、助けを求めることはできます。
たとえば、家族や友人に次のように伝えてみてください。
「今かなりつらくて、一人で考えるのがしんどい。少し話を聞いてほしい」
身近な人に話しにくければ、医療機関や公的な相談窓口を頼る方法もあります。
自分を傷つけそうなほど切迫しているときは、一人で抱えず、近くの人にそばにいてもらってください。差し迫った危険がある場合は、救急を求めてください。
「まだ出勤できているから大丈夫」と思っていても、睡眠や食欲などに変化が出ていることがあります。
厚生労働省は、眠りや食事の変化、頭痛・腹痛、気分や行動の変化などをストレスのサインとして紹介しています。以下は病気や限界を判定するチェックリストではなく、自分の状態に気づくための目安です。
布団に入っても仕事のことが浮かぶ、夜中に何度も起きる、食事を取るのが難しい。こうした変化があれば、休息や相談を考えてください。
体調不良にはストレス以外の原因もあります。症状が強い、続いている、生活に支障がある場合は、かかりつけ医などに相談しましょう。
以前より涙が出やすい、落ち込みやいら立ちが強い、人に会うことがつらいといった変化にも目を向けてください。
「気の持ちようで何とかしなければ」と自分だけで抱え込まず、いつから、どのような変化があるかを医療機関で伝えることが大切です。
休日も仕事への不安が頭から離れず、食事や身支度などが難しくなっている場合は、仕事の負担を減らす方法を考える必要があります。
厚生労働省「こころの耳」も、ストレスのサインに気づいたときは早めに対処・相談することを勧めています。一定の日数が過ぎるまで、相談を待つ必要はありません。
少し落ち着いて考えられるようになったら、「何が一番つらいのか」を分けてみましょう。以下は整理のための例です。当てはまるものをすべて探す必要はありません。
担当業務が増え続ける、残業しても終わらない、休みの日にも対応を求められる。このような場合は、自分の工夫だけでなく、業務量や分担の調整を相談する必要があります。
相談するときは、「忙しい」だけでなく、担当業務、締め切り、必要な時間を書き出すと、何を減らすべきか話し合いやすくなります。
質問すると怒鳴られる、人格を否定される、特定の人とのやり取りが怖い。そのような状況では、本人が直接相手に改善を求めること自体、大きな負担になります。
相談先は、直属の上司だけに限りません。人事や社内窓口、外部の労働相談窓口など、相手と距離を取って相談できる先を探しましょう。
接客、営業、事務など、仕事によって必要な力や働き方は異なります。
つらいと感じたときは、「自分には働く能力がない」と結論づける前に、仕事内容、教育体制、評価基準、働く時間などを分けて考えてみてください。異動や担当変更で改善できる部分がないかを検討する材料になります。
家事、育児、介護、恋愛、経済的な不安などが重なり、仕事を続ける余裕がなくなることも考えられます。
仕事の問題だけに絞らず、「今、誰かに代わってもらえることはないか」「延期できる予定はないか」も確認しましょう。
「もうムリ」と感じたからといって、その場で退職を決める必要はありません。一方で、つらい状態を無期限に我慢する必要もありません。
まず健康と安全を確保し、そのうえで環境を変えられるかを考えましょう。
| 今の状況 | 検討したい行動 |
|---|---|
| 体調が悪く、今日働くことが難しい | 欠勤などの連絡をし、休息や受診を優先する |
| 業務量や担当の調整を相談したい | 上司・人事に具体的な変更を求める |
| 治療やまとまった休養が必要と考えられる | 医師に相談し、会社の休職制度を確認する |
| 相談しても状況が改善せず、働き続けることが難しい | 異動や退職を含めて検討する |
| 退職したいが、会社と話すことが難しい | 労働組合や弁護士などに相談する |
この表だけで結論を出す必要はありません。医師や相談先と一緒に、今の状態に合う方法を考えてください。
体調が悪いときに、詳しい事情を最初から説明しきる必要はありません。
会社の連絡方法に従い、たとえば「体調不良のため、本日はお休みをいただきたくご連絡しました。今後については、受診後に改めてご相談させてください」と伝えます。
欠勤と有給休暇では扱いが異なるため、必要な手続きは会社に確認しましょう。
「少し様子を見る」だけでは、同じ状態が続いてしまいます。
担当件数を減らす、残業を調整する、指示を出す人を変更するなど、何を変えるかを具体的に相談しましょう。あわせて、変更後の状況をいつ確認するかも決めておくと、続けられるか判断しやすくなります。
体調が悪化した場合は、その確認時期を待たずに休息や受診を優先してください。
退職を考える際は、雇用契約、希望する退職日、有給休暇の残日数、当面の生活費などを確認します。
健康保険や年金の切り替え、雇用保険の給付なども、退職後の生活に関わる確認事項です。制度の利用条件や手続きは、勤務先や各窓口に確認してください。
すべてを一度に調べるのが難しければ、家族や相談先に手伝ってもらい、一つずつ進めましょう。
退職をためらう理由が、仕事への迷いではなく、上司への恐怖や強い引き止めという場合もあるでしょう。
辞める意思と、会社とのやり取りをどう進めるかは、分けて考えることができます。
期間の定めのない雇用契約では、原則として退職の申し入れから2週間で契約が終了するという民法上のルールがあります。「後任がいない」という理由だけで、無期限に退職できなくなるわけではありません。
ただし、有期契約では扱いが異なります。契約内容や個別の事情に応じて、労働相談窓口などに確認してください。
「明日から出社できない」という相談と、「明日付で雇用契約を終えたい」という希望は、同じではありません。
退職日まで有給休暇を取得するのか、欠勤などの扱いになるのかによって、最終出勤日は変わります。
退職支援を依頼する場合も、「いつから出社しなくてよいか」「正式な退職日はいつか」「その間の勤怠はどうなるか」を分けて確認しましょう。
「辞めるなら損害賠償を請求する」「退職は認めない」と言われたときは、その場で支払いや勤務継続を約束せず、発言や書面を保存して相談してください。
請求に応じる義務があるかどうかは、個別の事情を確認する必要があります。金銭の請求や法的な争いがある場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
「もうムリだから辞めたい」と思っても、すぐに会社へ伝えられるとは限りません。上司との関係や周囲への気遣いに加え、体調の問題で会話そのものが負担になることもあります。
東京労働経済組合が運営する退職代行ガーディアンは、20代〜30代の会社員(正社員)200名を対象に、退職を切り出すまでの期間や言い出しにくい理由を調査しました。
その結果からは、退職の意思だけでなく、伝える機会や相手との関係性、心身の状態にも目を向ける必要があることがうかがえます。

「退職したい」と思ってから最初に話を切り出すまでの期間について、回答者全体の10.5%にあたる21名が「まだ切り出せていない」と回答しました。
また、「1か月以上〜3か月未満」は25名、「3か月以上〜6か月未満」は17名でした。退職を考えてから、実際に伝えるまでに時間がかかる人もいることがわかります。
ただし、伝えるまでの期間だけで、心身の状態や退職をためらった理由までは判断できません。準備のために時間をかけている場合もあれば、伝えたくても動けない場合もあるためです。
大切なのは、期間の長さよりも「今の状態で働き続けられるか」「一人で会社と話せるか」を確認することです。
退職を考えたことがある128名を対象とした複数回答の設問では、次のような理由が挙がりました。
| 退職を言い出しにくい理由 | 割合・人数 |
|---|---|
| 切り出すタイミングが作れない | 17.2%・22名 |
| 上司と話しづらい/関係性が良くない | 14.8%・19名 |
| 体調/メンタル面の不調で、連絡・対面・会話がつらい | 14.8%・19名 |
| 引き継ぎや周囲への影響が気になる | 11.7%・15名 |
| 退職の手続き・社内ルールがわからない | 10.9%・14名 |
※対象者128名、複数回答。一部の回答項目を抜粋。
ここで注目したいのは、19名が「体調/メンタル面の不調で、連絡・対面・会話がつらい」と回答している点です。
退職を伝えられない背景には、話し方や決断力だけでは説明できない事情もあります。「自分で言わなければ」と考えるほど負担が大きくなる場合は、伝える方法や相談先を変えることも検討してください。
退職の意思を最初に伝える相手として、最もハードルが高い相手を尋ねた設問では、対象者128名のうち29名(22.7%)が「直属の上司」、25名(19.5%)が「上司の上司/部門長」を選びました。
この結果は、上司に伝えづらさを感じる人がいることを示しています。ただし、役職によってハードルが生まれる理由までは、この設問だけでは断定できません。
直属の上司への連絡が難しいときは、人事や社内相談窓口など、別の相談経路がないか確認しましょう。社内で相談すること自体が難しければ、外部の労働相談窓口を頼る方法もあります。
退職を決めることと、その意思を会社へ伝えることは、別の負担です。
今回の調査でも、退職を切り出せない背景として、上司との関係、心身の不調、引き継ぎへの気遣いなどが挙がりました。「辞めたいのに言えない」という状態を、自分の弱さだけで片づける必要はありません。
東京労働経済組合は、退職代行ガーディアンを通じて、本人に代わる退職に関する連絡・交渉に取り組んでいます。会社とのやり取りが大きな負担になっている場合は、対応範囲や手続きを確認したうえで、支援の利用を検討してください。
出典: 退職代行ガーディアン調べ「働く20〜30代に聞いた!退職したいのに言い出せない若手会社員の本音」(2026年3月30日公表)
調査対象: 20代〜30代の会社員(正社員)200名。言い出しにくい理由・伝える相手に関する設問は、直近で「退職したい」と思ったことがない人を除く128名が対象。
何を相談したいかによって、適した窓口は変わります。
| 相談したいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 眠れない、食べられないなどの体調不良 | かかりつけ医、心療内科・精神科など |
| 業務量や働き方の調整 | 上司、人事、産業医など |
| 職場の嫌がらせや労働条件の問題 | 総合労働相談コーナーなど |
| 退職に関する会社との連絡・交渉 | 対応可能な労働組合、弁護士など |
| 損害賠償請求や訴訟への対応 | 弁護士 |
厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど、幅広い労働問題について無料で相談できます。どこに相談すればよいか迷ったときの相談先にもなります。
その気持ちだけで、甘えかどうかを決めることはできません。仕事の負担、職場環境、体調などを分けて確認することが大切です。ほかの人が働けているかではなく、自分にどのような支障が出ているかに目を向けてください。
働くことが難しいほどつらい場合は、会社の手続きに沿って休みを相談してください。つらさが強い、繰り返す、睡眠や食事にも影響している場合は、医療機関にも相談しましょう。
入社直後という理由だけで、退職できなくなるわけではありません。ただし、必要な手続きや退職までの期間は契約内容などによって異なります。試用期間中でも、まず雇用契約を確認してください。
即日の連絡や、以後の出社をしないための調整と、雇用契約が当日に終了することは別です。依頼時には、契約内容を伝え、退職日とそれまでの勤怠の扱いを確認してください。
相談してかまいません。「休むべきか」「職場で調整できるか」「退職する場合は何を確認するか」を整理するためにも相談は役立ちます。有料の支援を検討する場合は、相談料や申込条件も確認しましょう。
今夜、仕事も人間関係も将来の不安も、すべて解決する必要はありません。
明日の予定を一つ減らす。体調不良を伝えて休む。一人に話を聞いてもらう。まずは、今できそうなことを一つ選んでください。
仕事を離れたいのに、退職を伝えることが難しい場合は、会社との連絡を支援する仕組みもあります。東京労働経済組合が運営する退職代行ガーディアンの活動内容や対応範囲を確認し、自分に合う相談先を選びましょう。
退職を言い出せず、お困りの方へ
会社とのやり取りを一人で抱えていませんか。退職に関する連絡・交渉の支援について、まずはサービス内容をご確認ください。
お問い合わせは下記より受け付けています。
この記事の監修者
長谷川 義人
東京労働経済組合
労働組合代表
プロフィール
高校を3ヶ月で中退しフリーターとなる。その後、20歳で定時制高校に通い25歳で定時制大学を卒業。
Tech系ITベンチャー企業にてBtoB営業からキャリアをスタートし、独立して代表として経営まで幅広く経験。
現在は「令和ならではの労働問題解決」に取り組むため、労働組合法人東京労働経済組合の代表に就任。
適法運営を徹底する退職代行サービス「退職代行ガーディアン」を運営し、日本の退職問題の改善と人材の最適配置を支える新たな社会インフラの確立に取り組む。
違法な退職代行が横行する業界の健全化にも力を入れており、労働者が安心して「次の一歩」を踏み出せる社会の実現を目指している。
書籍情報
「退職代行」は、なぜこれほど必要とされるようになったのでしょうか。
転職が一般化し、働く人の価値観が大きく変化する一方、企業には今なお「退職は自分で伝えるべき」「会社が認めるまで辞められない」といった従来の価値観が残っています。その認識のギャップが、退職代行を必要とする背景の一つとなっています。
本書では、東京労働経済組合の執行委員長として数多くの退職案件に携わってきた著者が、退職代行の実態を現場の視点から解説。民間業者・労働組合・弁護士の違いをはじめ、退職日、有給休暇、未払い賃金などをめぐる「交渉」の考え方、企業が退職代行から連絡を受けた際の具体的な対応まで紹介します。
退職代行は、単なる「会社から逃げるためのサービス」ではなく、企業と従業員の関係や職場環境の課題を映し出す存在でもあります。
目指すべきは「辞めさせない会社」ではなく、社員が安心して働き、必要なときには安心して辞められる会社。本書は、退職代行という現象を入り口に、企業と労働者のより健全な関係と、これからの日本の働き方を考える一冊です。