退職代行サービスは便利な反面、予期せぬトラブルが発生する可能性もあります。
会社とのやり取りや業者選びを誤ると、損害賠償や未払いなどの問題に発展するケースも少なくありません。
この記事では、退職代行サービスを利用する際に想定されるトラブルと、その防止策について解説します。
安心安全に退職を進めるための確認ポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
そもそも退職代行とは?
「退職代行」という言葉を耳にする機会が増えましたが、具体的にどのような仕組みで成り立っているのかは意外と知られていません。
退職代行は退職を申し出る際の精神的負担を減らし、スムーズに退職できるようサポートするサービスです。
ここでは、退職代行の仕組みと、どのような人が利用しているのかを説明します。
退職代行の仕組み
退職代行は、利用者に代わって勤務先へ退職の意思を伝えるサービスです。
退職の申し出は本来、労働者が直接会社にしますが、精神的負担や人間関係の問題から自分では切り出せないケースも多いのです。
そのような利用者に代わって、代行業者は会社へ退職の意思を伝達します。
法律上、労働者は原則2週間前に退職の意思を伝えれば辞められますが、実際には、会社側が引き止めや不当な圧力をかける事例も見受けられます。
代行サービスを利用すれば、こうしたやり取りをすべて業者が引き受け、本人は会社と一切接触せずに手続きを進められます。
ただし、退職代行を行うには法的なルールもあり、違法業者に依頼するとトラブルになるリスクもあるため、信頼できる運営元かどうかの確認が重要になります。
関連記事:退職代行に罪悪感がる…3つの原因と罪悪感を抱きやすい人の特徴
退職代行サービスを利用する人
退職代行を利用する人には、共通する背景がいくつか見られます。
最も多いのは、職場での人間関係やパワハラ、過重労働などによって精神的に追い詰められているケースです。
自分で退職を申し出ることに強いストレスを感じ、代行サービスの助けを借りる選択をする人が多く見られます。
また、初めての退職で手続きに不安を感じている若年層の利用も増えています。
さらに近年は、働き方の多様化や転職の一般化に伴い、円滑に次の職へ進むために利用する例も増えています。
中には、会社からの引き止めや損害賠償の脅しに悩まされて依頼を決意する人もいます。
関連記事:退職して会社に明日から行かないことは可能?注意点とおすすめの方法
退職代行サービスの利用の流れ
退職代行サービスを利用する前に、その一連の流れを把握しておくことが大切です。サービスの内容や進め方を理解しておけば依頼時にスムーズです。
ここでは、一般的な退職代行サービスの流れについて順に解説します。
退職の相談や依頼をする
まずは自分に合った退職代行業者を探し、相談から始めます。
多くの業者は、電話・メール・LINEなど複数の連絡手段を用意しており、特に最近はLINEで手軽に相談できるケースが増えています。
初回の相談では、現在の勤務状況や退職にあたっての不安、会社との関係性などを丁寧に伝えましょう。
また、利用する業者の法的な交渉権限があるかどうかも確認すると良いです。
業者によっては会社との交渉ができないケースもあるため、早めの確認がトラブル防止につながります。
今後の流れや料金について説明を受ける
相談後は、退職代行業者からサービス内容や今後の流れについて詳しい説明があります。
利用者はこの時点で退職理由や退職希望日、会社情報などを共有しましょう。
また、料金体系や支払い方法、追加費用の有無などについても明確な説明を受けます。
不明点を事前に確認しておくことで、後のトラブルを回避しやすくなります。
必要があれば有給休暇の消化、未払い残業代請求などの希望も相談しておきましょう。
関連記事:退職代行の平均金額はいくら?相場や雇用形態別の費用目安を解説
入金を行う
内容に納得し正式に依頼を決定した段階で、料金を支払います。
多くの業者は銀行振込による前払いを基本としていますが、クレジットカードや後払い、電子マネーに対応している業者もあります。
即日退職を希望する場合は、振込タイミングによって入金確認に時間がかかることもあるため、可能な限り即時反映される決済方法を選ぶことで、手続きが円滑に進みます。
入金が確認されると、いよいよ退職代行の準備が本格的に進められます。
退職の日時や今後の対策について打ち合わせをする
入金後は、退職日や会社に伝えてほしい要望の打ち合わせをします。
業者は依頼者から個人情報や勤務先情報、退職理由、有給休暇の消化希望などを細かくヒアリングします。
また、会社に伝えたい特別な事情や配慮してほしい点があればこの段階で伝えておきましょう。
正確な情報を共有することで業者もスムーズに代行業務を進められ、希望に沿った退職の実現に近づきます。
関連記事:退職代行は当日の朝にも利用できる?利用の際の流れと注意点について
退職代行業者から結果の報告を受ける
打ち合わせ内容をもとに、退職代行業者が会社に対して退職の意思を正式に伝えます。
依頼者は会社と直接連絡を取る必要はなく、業者から状況報告を受けるだけで進行します。
会社側との交渉が必要な場合も、業者が間に入り対応するため、落ち着いて対処できます。
退職が成立した後は、退職届の提出や貸与品の返却を郵送で行い、退職書類を順次受け取る流れとなります。
もし会社から不備があった場合も、業者がアフターサポートとして対応してくれるケースがほとんどです。
関連記事:退職代行の流れ6ステップ|何日かかる?依頼できる内容や事前準備も
退職代行サービス利用時に会社との間で発生しうるトラブル
退職代行サービスを利用すればほとんどの場合スムーズに退職できますが、残念ながら一部の会社では嫌がらせや不当な対応が行われるケースもあります。
実際に起こり得る会社側との主なトラブル例を見ていきましょう。
会社から直接連絡が届いた
退職代行を利用しても、会社から本人に直接連絡が入るケースがあります。
本来は代行業者を通じてやり取りするのが一般的ですが、会社側が電話やメールを送ってくることがあるのです。
直接対応してしまうと退職理由を追及されたり、説得されるケースがあります。
原則として会社側からの連絡には応じず、すべて退職代行業者に任せることが望ましいです。
重要な連絡がある場合は、会社側も代行業者経由で伝えてくるのが通常です。
損害賠償請求をされた
人手不足や繁忙期の退職を理由に、会社が損害賠償を請求してくるケースがあります。
しかし、退職する行為自体は法律上の権利であり、これを理由に賠償請求することは基本的に認められません。
実際に賠償義務が発生するのは、貸与物の破損や横領、情報漏洩など、会社に実害を与えた場合に限られます。
退職したからといって損害賠償を求められても冷静に対応したうえで、退職代行の担当者や専門家に相談することが重要です。
懲戒解雇処分を伝えられた
ごく一部の会社で、退職代行の利用自体を問題視し懲戒解雇処分を示唆し、脅迫するケースがあります。
退職の申し出や代行サービスの利用は、そもそも懲戒解雇の理由に該当しません。
理不尽な懲戒解雇の脅迫は法的に無効とされており、過度に懸念する必要はありません。
冷静に対応し、万が一強引に処分されそうになったらすぐに退職代行業者や弁護士に相談しましょう。
有給休暇が消化できなかった
退職前に残った有給休暇を消化したいと考えるのは自然なことですが、会社によっては消化を拒否するケースもあります。
有給休暇の取得は原則として労働者の権利であり、正当な理由なく消化を拒否されることは、原則として認められていません。
交渉権をもつ労働組合系の退職代行サービスを利用すれば、有給消化についてもきちんと交渉してもらえるため、業者の対応範囲を確認しておきましょう。
退職金・給料の未払いがあった
退職後に給与や退職金が未払いとなる事例も少なくありません。
特に即日退職などで引き継ぎを十分にしなかった場合、「仕事を放棄した」などの理由で支払いを拒む会社も存在します。
ただし、引き継ぎ義務が法的に定められているわけではなく、働いた分の給与や既定の退職金は、全額支払われるべきです。
支払いに応じない場合は、代行業者を通じて交渉してもらいましょう。
離職票が発行されない
退職後に必要となる離職票がなかなか送られてこない問題も見受けられます。
離職票は失業保険の申請に必要不可欠な書類であり、会社には退職後速やかに発行・交付する義務があります。
嫌がらせ目的で発行を遅らせる悪質な業者もありますが、退職代行業者のアフターサポートを利用すれば、会社側に発行を催促してもらえるでしょう。
早めに対処し、再就職活動を円滑に進めることが重要です。
関連記事:退職後の手続きでやるべき5つのこと&手続きの流れについて
退職代行サービス業者と利用者との間で発生しうるトラブル
退職代行を利用する際のトラブルは、会社との間だけではありません。
実は、依頼した退職代行業者そのものが原因となって、利用者にとって支障となるケースも少なくありません。
ここでは、退職代行サービス利用時に発生しやすいトラブルについて詳しく解説します。
違法な業者に相談してしまった
退職代行の中には、弁護士資格も交渉権限ももたない違法業者が紛れている場合があります。
違法業者は、本来弁護士にしか認められていない未払い賃金や退職条件に関する交渉までしようとし、非弁行為と呼ばれる法律違反に該当する恐れがあります。
会社側がその違法性を理由に交渉自体を拒否すれば、結局利用者本人が直接対応を迫られる事態になりかねません。
退職代行を依頼する際は、運営母体が弁護士事務所または労働組合法人であるかを事前に確認することが重要です。
関連記事:退職代行は弁護士提携だと安全?発生しがちな違法行為やデメリット
相談費用を振り込んだら連絡が無くなった
退職代行を装った詐欺業者も存在しています。
相談料や依頼料を支払った途端に連絡が取れなくなるケースが頻発しています。
こうした悪質業者は電話番号が使い捨て携帯だったり、LINEやSNSのみでやり取りしている例も見受けられます。
公式HPがなく正式な所在地も明記されていない場合は特に注意しましょう。
信頼できる業者を選ぶには、公式HPの有無や利用者の口コミや第三者機関による認証の有無を事前に確認することが重要です。
高額な追加料金を請求された
最初は安価な基本料金を提示しておきながら、後から高額な追加料金を請求する悪質業者もいます。
「交渉が長引いた」「会社側がなかなか応じない」という理由で次々と追加料金を重ねられ、最終的に当初の数倍に達する請求が行われる場合も報告されています。
こうしたトラブルを防ぐには、依頼前に「総額いくらかかるのか」「どの範囲までが料金に含まれているのか」を明確に確認し、口頭ではなく書面やチャット履歴に残しておきましょう。
依頼前にキャンセル代を請求された
相談段階で正式な依頼前にも関わらず、キャンセル料を請求してくる業者も存在します。
本来、代行手続きが開始される前であれば、相談やヒアリングだけで費用が発生することは基本的にありません。
しかし、中には「準備を進めたのでキャンセル料が発生する」と一方的に高額な費用を請求してくるケースがあります。
信頼できる業者であれば、正式依頼前の相談段階でキャンセル料を取ることはまずありません。
利用前に契約条件を漏れなく確認することが求められます。
退職代行サービスを利用する際に確認すべき項目
退職代行を利用する前に、利用者自身が事前に確認・準備しておくべき項目があります。
代行サービス利用中や利用後に、トラブルに巻き込まれるリスクを減らすためにもチェックしてみましょう。
消化可能な有給休暇
退職前に必ず確認しておきたいのが有給休暇の残日数です。
法律上、有給休暇は労働者の権利として認められており、退職時も残っている日数を全て消化できます。
有給を消化すればその期間分の給与も発生するので、収入面でも大きな安心材料となります。
代行サービスに依頼する際も、あらかじめ残日数を把握しておくことでスムーズに有給消化の交渉を進めてもらえます。
勤怠管理システムや給与明細で残日数を確認し、忘れずに伝えておきましょう。
関連記事:退職前に有休消化したい!よくあるトラブルを防ぐコツと対処法
貸与物の返し忘れ
退職時に会社から貸与されていた備品の返却も大切な手続きです。
パソコンやスマートフォン、社員証、セキュリティカードなど、返却漏れがあると後に損害賠償請求の対象になることさえあります。
紛失や破損があった場合でも、事前に会社へ正直に報告すれば誠意が伝わり、許容されるかもしれません。
返却物は一覧を作成し、郵送や書留など証拠が残る形で返却することが望ましい対応です。
また、会社に置いたままの私物も忘れずに整理しておきましょう。
損害賠償などの法律に関する知識
一部の会社では、退職代行の利用に対し法的措置を示唆してくることもあります。
「損害賠償を請求する」「懲戒解雇にする」などの脅し文句が出ることもありますが、退職の申し出自体は法律上の権利であり、基本的に賠償責任は生じません。
退職代行を利用する前に、最低限の法律知識、労働基準法、民法、労働契約法などを学んでおくと、万が一の脅しにも冷静に対応できます。
知識があることで無用な不安に左右されることはなくなります。
給与明細・契約書などのコピーの保管
退職時のトラブルに備えて、給与や勤務状況を証明する書類をコピーし保管しておきましょう。
給与明細や勤怠記録は未払い給与や残業代、有給休暇の消化日数の証拠となります。
また、雇用契約書や就業規則、退職金規定なども揃えておくと安心です。
もし会社側が退職後に支払いを拒んでも、これらの資料があれば証拠として有利に交渉が進められます。
念のため、過去6か月分程度は保管しておくことが望ましいです。
退職代行サービスを利用する際にトラブルを防ぐポイント
退職代行を利用するときは、正しい知識と準備を徹底することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
ここでは、特に注意すべきポイントを順番に見ていきましょう。
退職代行サービスの内容を理解しておく
まずは、退職代行サービスがどこまで対応できるのかしっかり理解しましょう。
退職代行といっても、退職の意思を会社に伝えるのみの業者もあれば、有給休暇の取得や未払い給与の交渉まで対応する業者も存在します。
基本的に、法的交渉が必要な場面では弁護士や労働組合が関与していなければ違法になる可能性があるため、自分が依頼するサービスがどの範囲までサポートしてくれるのか確認しましょう。
説明が不明瞭な業者は選択を避けるべきです。
退職代行サービスの評判や実績を確認する
実際に利用した人の口コミや評判は、サービス選びの重要な判断材料になります。
過去にトラブルが多発している業者は避けるべきですし、反対に長年安定した実績のある業者は信頼性が高いと評価されます。
退職成功率の高さや返金保証の有無、アフターフォローの充実などは、信頼性の裏付けとなります。
ネット上の口コミサイトやSNSも活用し、依頼前に情報収集を徹底しましょう。
就業規則や雇用契約の内容を確認する
退職手続きを進める前に、自分が所属する会社の就業規則や雇用契約書に目を通しておきましょう。
退職予告期間や退職金の支給条件、有給休暇の取り扱いなどが具体的に定められている場合があります。
内容を確認しておくことで、退職代行に伝えるべき希望条件を整理できますし、万が一会社と交渉が必要になったときに根拠をもって対応できます。
契約書のコピーなども手元に保管しておくと、万一の際に備えられます。
弁護士の監修が入っているサービスを選ぶ
弁護士が監修している退職代行サービスは、法的リスクの回避において非常に有効とされています。
特に有給消化の交渉や未払い賃金の請求といった交渉が発生する可能性がある場合は、弁護士の存在が大きな安心材料となります。
弁護士が在籍しているか、少なくとも顧問として監修している体制が整っているか確認しましょう。
違法性を疑われる心配もなく、会社から法的トラブルをほのめかされても冷静に対応することが可能となります。
労働組合が運営または提携しているサービスを選ぶ
労働組合が運営または提携している退職代行サービスは、法的に認められた団体交渉権をもっているため、交渉を含む幅広い対応が可能です。
例えば有給休暇の取得交渉、未払い賃金の請求、備品返却の調整なども任せることができる点は、大きな利点といえます。
民間業者にはできない法的交渉まで代行できるため、難航しそうな退職でも円滑に退職手続きを進められる可能性が高くなります。
運営元が労働組合であることを公式HPなどで確認しましょう。
関連記事:退職代行は労働組合に依頼すべき?違法リスクや弁護士との違いを解説
退職代行を安全に利用するために大切なこと
正しく利用することで、有効に機能するサービスですが、業者選びを誤ると深刻なトラブルを招きます。
安心して利用するには、法的に交渉権限をもつ労働組合のサービスを選びましょう。
退職代行ガーディアンは労働組合法人が直接運営しており、職場との正式な交渉が可能です。
違法な引き止めや嫌がらせ行為があっても、法的根拠に基づき、使用者側へ適切な対応を求め、依頼者の権利を保護します。
これまで退職に至らなかった事例は確認されておらず、追加費用不要の明朗な料金体系で安心してご利用いただけます。
弁護士監修のみや提携業者では対応できない正式交渉も、退職代行ガーディアンなら確実な対応が可能です。
この記事の監修者
長谷川 義人
東京労働経済組合
労働組合代表
プロフィール
高校を3ヶ月で中退しフリーターとなる。その後、20歳で定時制高校に通い25歳で定時制大学を卒業。
Tech系ITベンチャー企業にてBtoB営業からキャリアをスタートし、独立して代表として経営まで幅広く経験。
現在は「令和ならではの労働問題解決」に取り組むため、労働組合法人東京労働経済組合の代表に就任。
適法運営を徹底する退職代行サービス「退職代行ガーディアン」を運営し、日本の退職問題の改善と人材の最適配置を支える新たな社会インフラの確立に取り組む。
違法な退職代行が横行する業界の健全化にも力を入れており、労働者が安心して「次の一歩」を踏み出せる社会の実現を目指している。

