公開日 2025.09.05 更新日 2026.06.11

退職届の書き方は?トラブルを避けるポイントと提出タイミングも確認

退職を決意しても、「退職届の書き方で悩んでいる」「どのタイミングで出せばよいのか分からない」と、不安を感じている方もいるでしょう。
言葉の選び方一つで印象が変わるため、提出方法には十分な配慮が必要となります。

そこで本記事では、退職や退職届に関するトラブルを防ぎたい方に向けて、退職届の正しい書き方や提出時のルール、注意点などを分かりやすく解説します。
この記事を読むことで、退職手続きをスムーズに進められるようになるはずです。ぜひ参考にしてください。

退職届とは

退職届とは、退職の意思を会社へ伝えるために作成・提出する文書を指します。
一度提出すると、基本的に撤回できません。
主に一般社員が使用し、直属の上司などに提出します。

「退職願」や「辞表」と混同されがちですが、それぞれ意味や使用される場面が異なるため、使い分けに注意しましょう。

退職願や辞表との違い

「退職願」は、会社の承諾を得る前に退職の希望を申し出るための書類です。
退職届とは異なり、受理される前であれば撤回できる場合があります 。

一方、「辞表」は、役員や公務員が退職する際に提出する書類です。
退職届と似ているように見えますが、使用される立場や場面に違いがあります。
書類を誤って提出すると、トラブルに発展する可能性があるため、十分に注意しましょう。

それぞれの違いについては、以下の表をご参照ください。

項目 退職届 退職願 辞表
目的 退職の最終意思を伝える 退職の希望を申し出る 役職者が辞任・退職を申し出る
選択する人 一般社員 一般社員 役職者・公務員
提出先 上司・人事部など 上司・人事部など 会社の代表者や市長などの任命権者
撤回の可否 基本的に撤回不可 受理前であれば撤回可能 原則として撤回不可
提出の意味 会社の承諾がなくても、退職が成立することがある 会社の承諾を得て初めて成立する 代表者に対する強い意思表示する

一般社員が退職する際は、退職届または退職願を提出します。
厳密には異なる書類ですが、会社によっては両者を区別していない場合もあるため、迷ったときは直属の上司に確認しておきましょう。

関連記事:退職届と退職願の違いとは?それぞれの特徴とスムーズな退職のコツ

退職届を提出するタイミング

退職届を提出する際は、適切なタイミングを選ぶことが重要です。
多くの企業では、「退職の〇日前までに提出」などのルールが就業規則に定められています。必ず確認しておきましょう。

ただし、民法第627条では以下のように定められています。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

出典:e-Gov 法令検索:民法 第六百二十七条

つまり、会社の規定と異なる場合でも、民法上は退職の2週間前に申し出れば問題はありません。

とはいえ、突然の退職は職場に混乱を招く可能性もあるため、引き継ぎや周囲への影響も考慮し、できるだけ早めに退職届を提出することが望まれます。


特に退職日が決まっている場合は、そこから逆算してスムーズに準備を進めることが大切です。

なお、退職理由を会社に直接伝えにくい場合は、退職代行サービスの利用も一つの選択肢です。
自分に合った方法で円滑に進めましょう。

関連記事:退職の意思は何ヶ月前に伝えるべき?法律上のルールも紹介

退職届に記載する内容

退職届には必要事項を簡潔に記載するのが基本です。
感情的な要素は加えず、形式的に整った内容とすることが求められます。
不明確な表現や不要な情報は、誤解やトラブルを招く原因となります。

用紙は白色の便箋、もしくはB5またはA4サイズの白い用紙を使用し、黒のインクで記載するのが原則です。封筒も白無地のものを選びましょう。

作成方法は手書きでもパソコンでも構いませんが、会社によっては手書きを指定している場合があります。事前に社内ルールを確認しましょう。パソコンで作成する場合でも、日付や署名欄は手書きとするケースもあります。

退職届の基本構成は次のとおりです。

【退職届に記載する内容と順番】

  1. タイトル・書き出し
  2. 本文
  3. 退職日
  4. 届出日
  5. 提出者と宛先

それぞれ解説していきます。

タイトル・書き出し

縦書き・横書きどちらでも構いませんが、手書きで作成する場合は縦書きが一般的です。
タイトルは「退職届」とし、用紙の最上部中央に他の文字よりも大きく記載します。

その下の行に「私事」と書き添えます。「わたくしごとではありますが」という意味合いを持つ表現で、下揃えで記載しましょう。

本文

本文は前置きや挨拶文を省き、簡潔な形式的表現で構成します。

自己都合退職の場合は、定型文として「一身上の都合により」という文言を用い、退職の意思を伝えましょう。

【例文】このたび、一身上の都合により、令和○年○月○日を持って退職いたします。

ただし、会社都合退職の場合は「一身上の都合」ではないため、会社都合であることがわかる文面にすることが重要です。

【例文】令和○年○月○日付けで、貴社より契約終了の通知を受けましたので、同日を持って退職いたします。

注意点として、退職届は退職が確定した後に提出する書類なので「退職いたしたく」などの表現は使わず「退職いたします」と記載しましょう。

退職日

退職日とは、雇用契約が終了する日のことを指します。「最終出勤日」とは異なるため、混同に注意が必要です。

たとえば、5月10日を最終出勤日とし、その後に有給休暇を5日間消化する場合、退職日は5月15日となります。

退職日を誤って記載すると、会社側の手続きに支障をきたす恐れがあります。
また、社会保険や年金の切り替えにも影響することがあるため、不明な点があれば人事担当者や上司に相談のうえ、正確な日付を記載してください。

なお、退職届は退職日が決定してから作成しましょう。

届出日

届出日とは、退職届を会社へ提出する日を指します。
退職を申し出た日や作成日とは異なる点に注意してください。

早めに退職届を準備している場合は、 提出当日まで届出日を空欄にしておくのが一般的です。
たとえば、提出予定日に上司が不在で受け取ってもらえない可能性もあるため、確実に提出できる段階で日付を記入しましょう。

郵送で提出する場合は、発送日を届出日として記載します。元号(令和)と西暦のいずれでも構いませんが、書面内で表記を統一する必要があります。

提出者と宛先

退職届の末尾には、自身の署名と宛先を記載します。

提出者欄には、自分の所属部署と氏名を記入します。
パソコンで作成する場合は署名欄を空けておき、印刷後に手書きで記載するのが一般的です。
部署名は正式名称を記載し、名前はフルネームで書きましょう。

押印は法的に義務ではありませんが、慣例として押すのが通例です。
会社によっては就業規則で押印を求めている場合もあるため、確認しておくと安心です。

印鑑は朱肉を使用する認印が一般的です。
 実印は必要ありません。
なお、拇印やシヤチハタの使用はビジネスマナー上ふさわしくないため、避けてください。
押印に失敗した場合は修正せず、書き直すのが適切です。

宛先欄には、会社の代表者の役職および氏名をフルネームで記載し、「殿」または「様」の敬称を付けます。

【書き方の例】株式会社◯◯ 代表取締役社長 ◯◯ ◯◯様

直属の上司に提出する場合であっても、宛先は代表者宛とします。
誤った宛名を記載すると失礼にあたるため、会社登記上の正式名称と代表者名を事前に確認しておきましょう。

退職届を提出する際の注意点

退職届の提出にあたっては、いくつか重要なポイントを押さえる必要があります。提出方法やタイミングを誤ると、思わぬトラブルに発展する恐れがあります。

ここでは、特に注意すべき点を解説します。

関連記事:退職して会社に明日から行かないことは可能?注意点とおすすめの方法

注意点①基本的には撤回できないことを理解する

退職届は、退職の最終意思を表明する文書です。提出後は会社が受理した時点で退職が成立するため、基本的に撤回することはできません。

たとえば、会社とのトラブルが原因で感情的になり、その勢いで退職届を提出してしまうケースもあります。
しかし、後から気が変わったとしても、簡単に取り消すことはできません。

「とりあえず提出して後で考える」といった使い方はできない点に注意してください。
もし撤回を希望する場合は、会社側の同意が必要となります。

注意点②無効になることもある

退職届を提出すれば必ず退職できるとは限りません。
日付に誤りがあったり、退職日が曖昧だったりする場合、あるいは会社が定めた提出方法に従っていない場合などは、退職届が無効と判断されることがあります。

転職先がすでに決まっている場合、退職日がずれることで支障が出る可能性もあるため、トラブルを未然に防ぐためにも、 就業規則や社内の提出ルールを事前に確認しておくことが重要です。

関連記事:退職の引き止めは違法?しつこいときの対処法や法的根拠を解説

注意点③提出が不要なケースもある

すべての退職者が退職届を提出しなければならないわけではありません。

たとえば、契約期間の満了による退職の場合、会社側からの通知によって手続きが進められることもあります。
また、パートタイムやアルバイトとして勤務している場合は、口頭で退職の意思を伝えるだけで受理されることもあります。

ただし、退職理由を記録として残しておきたい場合や、後のトラブルを防ぐ目的がある場合には、退職届を提出することで証拠としての役割を果たします。自分の雇用形態や状況に応じて、必要かどうかを判断しましょう。

注意点④残っている有給休暇の日数を確認する

退職直前になって有給休暇を消化したいと考えても、希望通りに取得できない場合があります。
引き継ぎの進捗や上司の意向によっては調整が難しいこともあるため、早めに人事部門へ相談することが大切です。

有給を消化しきれない場合は、会社によって残日数分を買い取ってくれる制度を設けていることもあるため、あわせて確認しておきましょう。

関連記事:退職前に有給消化したい!よくあるトラブルを防ぐコツと対処法

注意点⑤転職活動の進行度に応じて退職日を決める

次の転職先が決まっていない状態で退職届を提出すると、経済的に不安定な状況に陥る可能性があります。
一方で、内定後すぐに退職すると、引き継ぎ不足により職場に迷惑をかけるおそれもあります。

転職先の入社日から逆算し、余裕をもって退職日を設定することが望まれます。
円満に退職できるよう、計画的に進めましょう。

注意点⑥就業規則をよく確認する

退職届の提出方法や書き方などは、会社ごとの就業規則に明記されていることが多くあります。
手続きを円滑に進めるためにも、事前に内容を確認しておくことが大切です。

不明な点がある場合は、直属の上司や人事担当者に相談することをおすすめします。

別の会社に入社するまで期間が空く場合に退職者が行う手続き

退職後、すぐに次の就職先が決まっていない場合には、各種の手続きが必要です。以下に確認すべきポイントをまとめます。

関連記事:退職後の手続きでやるべき5つのこと&手続きの流れについて

健康保険を切り替える

退職と同時に、これまで加入していた健康保険は失効します。
保険がない状態で医療機関を受診すると、医療費が全額自己負担になるため、早めの手続きが必要です。

選択肢としては以下の3つがあります。

【健康保険切り替えの選択肢】

  • 国民健康保険へ加入
  • 任意継続被保険者制度を利用
  • 扶養に入る

国民健康保険は退職翌日から加入対象となり、市区町村役所で手続きします。
任意継続被保険者制度は、最大2年間、これまでの健康保険を継続できる制度で、退職後20日以内の申請が必要です。

扶養に入る場合は、収入や生計要件を満たす必要があります。

年金を切り替える

退職すると厚生年金から脱退することになり、代わりに国民年金へ加入する必要があります。
加入手続きは市区町村役所で行い、14日以内に申請しなければなりません。

なお、所得が少ない場合は保険料の免除制度を利用できる場合もあります。

住民税の支払い方法を変更する

在職中は住民税が給与から天引き(特別徴収)されますが、退職後は自分で支払う「普通徴収」に切り替わります。
納付書に従って期日までに納付してください。

失業保険を申請する

再就職先が決まっていない場合は、失業保険を活用して生活を支えることができます。
ハローワークでの手続きが必要であり、雇用保険被保険者証や離職票などの書類を提出します。

失業保険の受給には、「働く意思と能力があること」や「求職活動をしていること」などの条件を満たす必要があります。
詳細については事前にハローワークで確認しましょう。

関連記事:退職後に失業保険を受け取るには?必要な手続きや流れを解説

就業規則と法律の両方を確認することが重要

いかがだったでしょうか。

退職届の書き方や提出における注意点、退職後に必要な手続きについて解説しました。
スムーズに手続きを進めるためにも、就業規則と法律の双方を確認し、正確に準備を進めましょう。

不安や迷いがある方は、退職代行サービスを利用するのも一つの手段です。
たとえば「退職代行ガーディアン」は、労働組合法人であり、代理交渉が法律上認められています。弁護士監修や労働組合提携のサービスとは異なり、法的根拠に基づいた対応が可能です。

これまでに退職できなかったケースはなく、安全性の高さも特徴です。費用面も抑えられているため、安心して利用できます。ご不安な方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

長谷川 義人

東京労働経済組合
労働組合代表

プロフィール

高校を3ヶ月で中退しフリーターとなる。その後、20歳で定時制高校に通い25歳で定時制大学を卒業。
Tech系ITベンチャー企業にてBtoB営業からキャリアをスタートし、独立して代表として経営まで幅広く経験。
現在は「令和ならではの労働問題解決」に取り組むため、労働組合法人東京労働経済組合の代表に就任。
適法運営を徹底する退職代行サービス「退職代行ガーディアン」を運営し、日本の退職問題の改善と人材の最適配置を支える新たな社会インフラの確立に取り組む。
違法な退職代行が横行する業界の健全化にも力を入れており、労働者が安心して「次の一歩」を踏み出せる社会の実現を目指している。

東京労働経済組合 SNSアカウント

カテゴリー

書籍情報

退職代行を使われる側の教科書 表紙
タイトル
退職代行を使われる側の教科書
著者
長谷川 義人

「退職代行」は、なぜこれほど必要とされるようになったのでしょうか。
転職が一般化し、働く人の価値観が大きく変化する一方、企業には今なお「退職は自分で伝えるべき」「会社が認めるまで辞められない」といった従来の価値観が残っています。その認識のギャップが、退職代行を必要とする背景の一つとなっています。
本書では、東京労働経済組合の執行委員長として数多くの退職案件に携わってきた著者が、退職代行の実態を現場の視点から解説。民間業者・労働組合・弁護士の違いをはじめ、退職日、有給休暇、未払い賃金などをめぐる「交渉」の考え方、企業が退職代行から連絡を受けた際の具体的な対応まで紹介します。
退職代行は、単なる「会社から逃げるためのサービス」ではなく、企業と従業員の関係や職場環境の課題を映し出す存在でもあります。
目指すべきは「辞めさせない会社」ではなく、社員が安心して働き、必要なときには安心して辞められる会社。本書は、退職代行という現象を入り口に、企業と労働者のより健全な関係と、これからの日本の働き方を考える一冊です。

販売サイト:Amazon.co.jp: 退職代行を使われる側の教科書 : 長谷川義人: Japanese Books

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