
公務員でも退職代行を依頼できますが、サービスの利用には一定の制限があります。
民間企業や労働組合が運営する退職代行サービスの大半は、公務員を対象外としているためです。
したがって、公務員の退職手続きを第三者に依頼する場合は、弁護士がおもな選択肢となります。
本記事では、公務員が利用できる退職代行について、一般企業の退職手続きとの違いをふまえて解説します。
サービスへの理解を深めるうえで、運営元による法的権限の違いも参考にしてください。
公務員が退職手続きを第三者に依頼することは禁止されていないため、教員や市役所職員なども退職代行を利用可能です。
ただし、公務員には一般の会社員と異なる法律が適用されることに注意しなければなりません。
民間企業や労働組合が運営する退職代行サービスの多くは、公務員を対象外としています。
退職に際して国や自治体の許可が求められるうえ、退職時期を特定できないためです。
公務員が退職代行を利用して辞める場合は、原則として弁護士運営のサービスを選ぶ必要があります。
多くの退職代行サービスが公務員を対象外としている理由は、おもに以下の3つです。
それぞれ見ていきましょう。
一般企業の雇用が規定されているおもな法律は、民法や労働法です。
無期雇用労働者はいつでも退職を通知でき、申し出があった日から2週間を経過すると雇用契約が終了します。
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当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。 |
そのため、退職代行業者が労働者の意思を会社に通知することで、問題なく退職が成立します。
一方、公務員の雇用は民法だけでなく、国家公務員法や地方公務員法などによって定められています。
退職する際は、原則として任命権者の許可を取得し、辞令の交付を受けなければなりません。
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職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。 |
任命権者とは、知事や市区町村長、教育委員会、警察本部長などを指します。
国や地方自治体が第三者からの連絡を拒否するケースもあるため、民間企業が運営する退職代行では対応が難しくなります。
多くの退職代行サービスでは「退職意思を通知した日から出社不要」をアピールしています。
民法の規定にもとづいた場合、退職申し出日から有給消化期間に入り、2週間を経過するとそのまま退職日を迎えられるためです。
しかし公務員の退職時期は、国や自治体の手続き次第で変わります。
担当部署との協議が必要になるため、具体的な退職日を確約できません。
さらに自衛隊員の場合は、任務に支障が出る場合は退職時期が後ろ倒しになる可能性もあります。
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第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。 |
以上の理由から、退職代行の肝である「実質的な即日退職」が成り立たないため、多くの業者が公務員を対象外としています。
憲法第28条では、労働者の労働三権(団結権・団体交渉権・争議権)を保障しています。
しかし、労働三権が適合するのは一般企業の会社員であり、公務員には一定の制限が加えられています。
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区分 |
団結権 |
団体交渉権 |
争議権 | |
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国家公務員 |
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○ |
○ |
× |
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非現業職員 |
○ |
△ |
× | |
|
× |
× |
× | |
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地方公務員 |
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○ |
○ |
× |
|
○ |
△ |
× | |
|
× |
× |
× | |
団結権を有する公務員が所属するのは「労働組合」ではなく「職業団体」です。
そのため、労働組合が運営する多くの退職代行サービスも、公務員を対象外としています。
参考:公務員の労働基本権|総務省
参考:地方公務員の区分について|総務省
一般の会社員と比較すると、公務員が退職代行を利用するハードルは高いといわざるを得ません。
ただし、以下のケースに該当する場合は、退職代行の利用を積極的に検討すべきでしょう。
詳細を解説します。
無断欠勤を考えるほど追い詰められている場合は、退職代行が役立ちます。
1日でも正当な理由なく欠勤した場合は、懲戒処分の対象となり得るためです。
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公務員は退職に際し、辞令を交付式で受け取りますが、出席が必須だとは限りません。
郵送に対応してもらえるよう、代行業者に交渉を依頼することも可能です。
衝動的に欠勤せず、退職代行サービスを利用して正規の手続きを踏むのが安全です。
多くのケースでは、任命権者の承認を得る前段階で直属の上司に退職意思を通知するでしょう。
ここで退職を引き留められると、手続きが一向に進みません。
対応が滞れば、退職の承認を得るまでに相当の期間を要することもあります。
職場の上司が取り合ってくれない場合は、退職代行を利用して手続きを進めることも1つの選択肢です。
公務員か否かにかかわらず、以下の条件にあてはまる方は、退職代行の利用を検討してもよいでしょう。
退職代行では、労働者の代理人として退職手続きの大半を担ってもらえるため、自分で対応するよりも時間を大幅に節約できます。
現在の状況や希望に応じて、部分的にサポートを依頼することも可能です。
まずは候補となる退職代行サービスをピックアップし、無料相談で状況を伝えてみましょう。
仕事のストレスによって体調面に支障をきたしている場合は、退職代行を利用することも1つの方法です。
心身の不調を放置する期間が長くなるほど、回復もスムーズに進みにくくなります。
今後のキャリアや人生設計にも悪影響を及ぼすため、我慢を重ねることが自分のためになるとは限りません。
プロに依頼して退職手続きを進めることは、自分の身を守る有効な手段だといえます。
退職代行の運営元は、以下の3つに分類されます。
各運営元の違いを見ていきましょう。
弁護士が運営する退職代行サービスには、あらゆる法律事務を依頼できます。
退職意思の通知はもちろん、条件交渉や損害賠償請求、訴訟代理も可能です。
雇用の規定が一般的な労働者と異なる「公務員」や「有期雇用労働者」も、弁護士に依頼すればスムーズに退職できるでしょう。
ただし、料金は高めに設定されており「5万円〜10万円」程度が相場です。
ほかの運営元と比較して数倍の料金がかかるケースもあるため、必要性を慎重に検討することが大切です。
関連記事:退職代行は弁護士提携だと安全?発生しがちな違法行為やデメリット
労働組合による退職代行は「団体交渉権」を有するため、退職日の調整や有給申請、未払い賃金の支払い要求などを依頼できます。
料金相場は「2万5,000円〜3万円」程度で、業務範囲の広さを考慮すると費用対効果に優れているといえるでしょう。
しかし多くの労働組合は、公務員の退職代行を扱いません。
公務員が所属できるのは「職業団体」であり、一部の公務員には団結権すら認められていないためです。
訴訟リスクを抱えていない一般企業の会社員には、労働組合運営の退職代行を最有力候補としておすすめします。
民間企業が運営する退職代行サービスは、法律上の制約があり、会社との交渉を行えません。
合法的に対応可能な業務は「退職意思の伝達」に限定されるため、スムーズに退職手続きを完了できないこともあります。
料金相場は「1万5,000円〜5万円」と幅があり、業務内容を考慮すると費用面の優位性はありません。
公務員が退職する際は、国や自治体との協議・調整や、一定の手続きを経る必要があります。
資格のない民間企業へ対応を一任するのはリスクが大きいため、利用を控えるべきでしょう。
仕事のストレスで精神的な限界を迎えたときは、退職代行を利用してスムーズに退職することも1つの選択肢です。
ただし、公務員の退職規定は一般の会社員と異なるため、対応できる退職代行サービスが限定されることを覚えておきましょう。
一般企業に勤務している方には、業務範囲と料金のバランスに優れた「労働組合運営」の代行サービスをおすすめします。
退職代行ガーディアンでは、25年を超える労働組合運営の実績を活かし、累計4万件以上の退職を実現してきました。
退職に関する悩み事や疑問がある方は、お気軽にLINEの無料相談をご利用ください。
この記事の監修者
長谷川 義人
東京労働経済組合
労働組合代表
プロフィール
高校を3ヶ月で中退しフリーターとなる。その後、20歳で定時制高校に通い25歳で定時制大学を卒業。
Tech系ITベンチャー企業にてBtoB営業からキャリアをスタートし、独立して代表として経営まで幅広く経験。
現在は「令和ならではの労働問題解決」に取り組むため、労働組合法人東京労働経済組合の代表に就任。
適法運営を徹底する退職代行サービス「退職代行ガーディアン」を運営し、日本の退職問題の改善と人材の最適配置を支える新たな社会インフラの確立に取り組む。
違法な退職代行が横行する業界の健全化にも力を入れており、労働者が安心して「次の一歩」を踏み出せる社会の実現を目指している。