
退職後に失業保険を受け取るには、必要な条件や申請の流れを正確に把握しておくことが重要です。
給付を受けられれば、生活費の不安を和らげながら転職活動を進めたり、療養や自己研鑽に取り組めます。
本記事では、失業保険の仕組みや受給のメリット、支給開始日や給付日数の違いについても詳細に説明しています。
さらに、再就職時に活用できる再就職手当についても触れていますので、退職後の選択肢を広げる参考にしてください。
失業保険とは、離職によって収入が途絶えた人が、生活の安定を保ちながら次の就職先を探せるように国から支給される制度です。
経済的な不安を軽減し、焦ることなく求職活動やスキルアップに専念できるよう支援します。
正式名称は「雇用保険の基本手当」。一般には失業保険または失業手当と呼ばれています。
受給には雇用保険の加入期間や離職理由など一定の条件があり、 本人が申請しなければ支給を受けることができません。
条件や申請方法を理解しておけば、退職後の生活をより安定的に進めていけます。
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失業保険を受給すると、経済的な安心を得られるだけでなく、精神的にもゆとりをもてます。
退職後に新しい仕事を見つけるまでの期間は焦りや不安がつきものですが、失業保険があれば余裕をもって次のステップを考えられるでしょう。
転職活動や資格取得、健康の回復など、自分の状況や目的に合わせて活用できるのが大きな魅力です。
以下、メリットを順にご紹介します。
失業保険を受け取ることで、生活費の不安を感じずに転職活動に集中できます。
収入が途絶えてしまった場合、多くの人はすぐに新しい仕事を探そうとして焦りが生じてしまい、自分の希望や適性に合わない仕事を選んでしまうでしょう。
その結果、再び早期離職を繰り返すことにもなりかねません。
そこで、失業保険の給付によって一定の生活資金が保証されれば、経済的なプレッシャーを感じることなく、本当に自分がやりたい仕事や条件のよい職場をじっくりと選べます。
また、給付期間中はハローワークを通じ就職活動のサポートやアドバイスを受けられ、 履歴書の添削や面接対策といった実践的な支援もしてもらえます。
失業保険を受給しつつ、スキルアップや資格取得の時間を確保できる点も大きな利点となります。
失業中の期間を有効活用して自己研鑽に努めれば、転職市場における自分の価値を高められます。
例として、ハローワークが実施する職業訓練制度を利用すれば、受講料無料で専門知識や技能を身につけることができます。
IT系の資格や介護分野、簿記などの資格を取得すれば、再就職の選択肢が大幅に広がるでしょう。
資格取得やスキルアップは将来的な収入アップにもつながる可能性が高いため、失業保険は中長期的なキャリア形成にも役立つでしょう。
また、自宅でオンライン講座を受講するなど、自分のペースに合わせて自由に勉強する時間が持てる点も魅力となります。
健康上の理由で退職を余儀なくされた場合も、失業保険が役立ちます。
体調不良や心身の疲労から十分に働けない状況で無理をすると、かえって回復を遅らせることになります。
しかし、収入が途絶えることへの不安から療養を後回しにすると、より深刻な状態になるリスクも考えられるでしょう。
失業保険を受給できれば経済的な心配が軽減されるため、焦らず安心して治療や休養に専念できます。
回復までの期間に、ライフスタイルや働き方を丁寧に見直し、健康面に配慮した働き方を考える時間が取れるのもメリットです。
療養中でもハローワークの専門職員に相談すれば、健康状態に適した働き方や無理のない再就職支援を受けられます。
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失業保険は、離職後の生活を一時的に支える心強い制度ですが、受給には細かなルールや制限があります。
理解せずに手続きを進めてしまうと、途中で支給が止まったり、受給額が減ってしまう可能性があります。
安心して受給するためには、制度の概要と必要な準備を事前に確認することが重要です。
失業保険は、失業状態にある全ての人が自動的に受け取れる制度ではありません。
受給には雇用保険の加入期間や離職理由などの条件があります。
また、自己都合退職か会社都合退職かによって、支給開始時期や給付日数が大きく異なります。
過去の勤務期間が一定以上あるかどうかも、受給資格の有無を左右するポイントです。
条件を満たしていない場合、申請しても支給が認められず、手間と時間を浪費することになりかねません。
申請前に雇用保険の加入期間や退職理由を整理し、制度の対象かどうかを確認することが必要です。
失業保険を受給するためには、原則として4週間に1度、ハローワークへ出向き失業認定を受けなければなりません。
就職の意思と能力があること、そして一定期間内に求職活動していることを証明する必要があります。
求職活動の実績として認められるのは、求人への応募や面接、ハローワークでの職業相談などです。
近年はオンラインでの手続きや報告が部分的に導入されていますが、すべての手続きが非対面で完結するわけではなく、多くのケースで直接訪問が必要です。
初回の求職申込や一部の認定日は来所が必須となるため、仕事探しや生活の予定と並行して計画的に通いましょう。
自宅からハローワークまでの距離が遠い場合や、天候や体調不良などの影響を受けやすい場合は、通所の負担を見越してスケジュールを組むと良いです。
退職後に失業保険を受け取るためには、就業していない状態で再就職の意思があることが前提となります。
さらに、退職日からさかのぼって2年間のうち、雇用保険の被保険者期間が通算12カ月以上あること、そして退職日が65歳の誕生日の2日前以前であることも条件です。
これらの要件を満たして初めて、失業保険の受給手続きを進められます。
また、離職理由によって受給開始までの期間や支給日数が変わるため、自分の退職区分を正しく把握しておきましょう。
自己都合退職の場合、雇用保険の被保険者期間に応じて支給日数は90日から150日まで変動します。
ただし、この区分では受給までに「待期期間」と「給付制限期間」が設けられており、申請から実際の支給開始まで約2カ月かかることがあります。
待期期間は離職票を提出して求職申し込みを行った日から通算7日間で、これはすべての受給者に共通。
一方、給付制限期間は自己都合退職特有のもので、基本的に1カ月ですが、 過去5年の間の2回以上自己都合で離職した場合は、3回目の離職で3カ月に延びます。
この期間中は失業手当が支給されないため、生活費の計画を立てておく必要があります。
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特定理由離職者とは、病気や家族の介護、配偶者の転勤など、やむを得ない事情で退職した人を指します。この場合、自己都合退職であっても給付制限期間は設けられず、待期期間7日間のみで支給が始まります。
支給日数は被保険者期間に応じて90日〜150日の範囲で決まり、一般の自己都合退職と同じ基準で算出されます。
給付制限がない分、早く生活の安定を図れるのが大きなメリットですが、認定を受けるには「やむを得ない理由」であることを証明する書類が必要です。
診断書や転勤命令書など、根拠となる書類を事前に準備しておくとスムーズに進むでしょう。
会社都合退職や、契約満了で更新を希望したにもかかわらず更新されなかった場合は、特定受給資格者または特定理由離職者として扱われます。
この場合、待期期間7日間の経過後すぐに支給が始まり、初回の振込はおおむね申請から1カ月後です。
受給日数は雇用保険の被保険者期間と離職時の年齢によって決まり、被保険者期間が1年未満であれば一律90日、1年以上になると年齢が高くなるにつれて支給期間も長くなります。
会社都合は自己都合と比べ受給条件が有利で、生活再建へのスピードも早いため、離職理由が正しく会社都合として認定されることが重要です。
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失業保険は、申請したからといってすぐに支給されるわけではありません。
受給開始までに「待期期間」や「給付制限期間」があり、その長さは離職理由によって異なります。
自己都合退職の場合は支給までの期間が長くなる傾向があるため、退職後の生活費を見据えた資金計画が必要です。
ここでは、自己都合退職と会社都合退職それぞれの支給開始までの流れを解説します。
自己都合退職の場合、離職票を提出して求職申し込みした日から7日間の待期期間があります。
さらに、2025年4月の雇用保険法改正により、従来2カ月だった給付制限期間が1カ月に短縮されました。
このため、申請から実際の支給開始まではおおむね1カ月強となります。
ただし、過去5年間に2回以上自己都合退職をしている場合、3回目以降は給付制限が3カ月となる点に注意が必要です。
また、 給付制限期間中でも公共職業訓練などを受講すると制限が免除され、早期に支給が始まる場合があります。
会社都合退職や、契約更新を希望したにもかかわらず更新されなかった特定理由離職者の場合は、待期期間7日間が終了するとすぐに支給対象となります。
初回の振込は失業認定日から約1週間後で、申請からおおむね1カ月程度で初めての支給を受け取る流れです。
自己都合退職と比べ受給までの期間が短く、生活の安定を早く図ることができます。
離職理由が会社都合に該当するかどうかは、受給条件や開始時期に直結するため、離職票の記載内容を必ず確認しておきましょう。
失業保険の給付日数は「所定給付日数」と呼ばれ、離職理由や年齢、雇用保険の被保険者期間によって異なります。
同じ離職理由でも、年齢や勤務年数によって支給日数は大きく変わるため、自分の状況に応じた日数を確認しておきましょう。
自己都合退職と会社都合退職の場合に分けて見ていきます。
自己都合退職では、被保険者期間が長いほど支給日数が増えますが、最大でも150日となります。
以下の表は、自己都合退職の場合の所定給付日数の目安です。
| 被保険者期間 | 所定給付日数 |
| 1年未満 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
待期期間と給付制限期間を経た後に順次支給されます。
給付制限があるため、受給開始が遅れる点も含めて計画を立てましょう。
会社都合退職や特定理由離職者の場合は、自己都合退職よりも支給日数が長く設定されています。
45歳以上や被保険者期間が長い場合は、 最長で330日の支給が可能です。
| 雇用保険の被保険者期間 | 離職時の年齢 | 所定給付日数 |
| 1年未満 | 全年齢 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 30歳未満30〜34歳35〜44歳45〜59歳60〜64歳 | 90日120日150日180日150日 |
| 5年以上10年未満 | 30歳未満30〜44歳45〜59歳60〜64歳 | 120日180日240日180日 |
| 10年以上20年未満 | 30歳未満30〜34歳35〜44歳45〜59歳60〜64歳 | 180日210日240日270日210日 |
| 20年以上 | 30〜34歳35〜44歳45〜59歳60〜64歳 | 240日270日330日240日 |
失業保険の受給額は、「基本手当日額」と「所定給付日数」を掛け合わせて算出します。
基本手当日額は、退職前6カ月間の給与総額を180で割った額に給付率(おおむね50〜80%)を掛けた金額です。
例えば、月給30万円で11年間勤務した32歳が会社都合で離職した場合、基本手当日額は約5,000円となります。
これに所定給付日数210日を掛けると、総受給額は約105万円となります。
自分の給与や勤務期間から概算を出しておくと、退職後の生活設計を立てやすくなります。
失業保険は、会社を辞めたからといって自動的に受給できるものではありません。
受け取るためには、ハローワークでの申請や説明会への参加、失業認定の手続きなど、いくつかのステップを順番に踏む必要があります。
これらの手続きは全て期限や条件が定められているため、この機会に流れを理解しておきましょう。
ここでは、失業保険を受け取るまでの一連の流れを順に解説します。
申請を始める前に、まずは必要書類をすべて用意します。
主な書類として、会社から発行される「雇用保険被保険者離職票(1・2)」や「雇用保険被保険者証」、本人確認書類、銀行口座の通帳やキャッシュカードなどがあります。
さらに、証明写真やマイナンバーを確認できる書類も必要です。
離職票は発行までに時間がかかることもあるため、退職後すぐに会社へ依頼しておきましょう。
前もって書類を揃えておけば、離職票が届き次第申請へ進めます。
関連記事:退職後の手続きでやるべき5つのこと&手続きの流れについて
必要書類を揃えたら、管轄のハローワークへ行き、失業保険の申請を行います。
この際、求職申込書を提出し、就職の意思があることを示しましょう。
窓口では職員による面談が行われ、求職活動の進め方や今後の手続きのスケジュールが説明されます。
必要書類を提出した日が正式に受給資格決定日で、ここから7日間の待期期間がスタート。
待期期間中は就労せず、求職活動の準備を整える期間となります。
受給資格が決定したら、指定された日時に雇用保険説明会へ参加します。
この説明会は失業保険を受給する上で必須の手続きであり、欠席すると支給開始が遅れることを理解しておきましょう。
説明会では受給のルールや期間、給付額の算出方法、給付中に守るべき義務などが詳しく解説されます。
また、今後の失業認定の方法や求職活動の進め方についても説明があり、必要書類である「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」が配布されます。
説明会後は、指定された失業認定日にハローワークを訪れ、失業認定申告書を提出します。
この申告書には、直近の求職活動内容や応募状況などを記入し、失業状態にあることを報告します。
初回の認定では求職活動が1回でも認められますが、2回目以降は2回以上の活動実績が必要です。
申告内容が認められれば、その期間に応じた失業手当が支給されます。
失業保険を継続して受給するには、4週間ごとにハローワークへ行き、失業認定を受ける必要があります。
ハローワークでも求職活動の実績が求められ、認定が取れなければその期間の支給は行われません。
離職理由が会社都合であっても、定期的な認定手続きは全ての受給者に求められます。
近年、一部求職活動報告がオンラインで可能となりましたが、多くの場合は指定日にハローワークへ出向く必要があります。
継続して受給するためには、スケジュール管理と活動記録の徹底が欠かせません。
再就職手当は、雇用保険制度の中に設けられている「就業促進手当」の一種で、早期の再就職を後押しするために支給される特別な給付金です。
失業保険が「離職から再就職までの生活を支える」ことを目的としているのに対し、再就職手当は「できるだけ早く新しい職に就くことを促す」ことが目的です。
再就職までの期間が短いほど支給額は多くなる仕組みで、派遣社員や契約社員など雇用形態を問わず対象となる場合があります。
ただし、受給には細かい条件があり、誰もが自動的に受け取れるわけではありません。
再就職手当の金額は、「基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率」で算出されます。
基本手当日額とは、雇用保険受給資格者証に記載されている1日あたりの支給額で、退職前の給与額や年齢に応じて上限が設けられています。
支給率は、所定給付日数の3分の1以上が残っていれば60%、3分の2以上なら70%となります。
基本手当日額が6000円、残日数が50日、支給率が60%の場合、受給額は18万円です。
再就職までの期間が短いほど残日数が多くなり、結果として支給額も増えるため、早期に就職すれば、金銭的にも大きなメリットがあります。
再就職手当は早期就職を後押しするための制度ですが、支給を受けるためにはいくつかの要件を満たす必要があります。
条件は細かく定められており、一つでも欠けると支給対象外となる可能性があります。
そのため、申請前に必ず内容を確認し、必要な準備を整えておきましょう。
失業保険の申請後、まず7日間の待期期間が設けられます。
この期間中は就労していない状態で、もし 待期期間内に就職してしまうと再就職手当は支給されません。
必ず待期期間が終了した後に就職日を設定することが条件となります。
再就職手当は、失業保険の給付期間が一定以上残っている場合に支給されます。
基準は「所定給付日数の3分の1以上」、さらに残日数が「3分の2以上」の場合は支給率が上がります。
つまり、 早く再就職するほど残日数が多くなり受給額も大きくなる仕組みです。
再就職先は、前職と人事・資本などで関係が深い企業でないことが条件です。
例えば、同一資本グループや親子会社などの場合は支給対象外となる可能性があります。
再就職先での勤務が1年未満と見込まれる場合は原則として対象外です。
ただし、更新の見込みが十分にある契約社員や派遣社員の場合は支給対象となるケースもあります。
契約条件が不明確な場合は、就業条件明示書等で確認しておくべきです。
過去3年間に再就職手当や就職支度手当を受け取っている場合は、新たに再就職手当を申請することはできません。
過去の受給歴も条件に含まれるため、申請前に確認が必要です。
失業保険の受給資格が決定する前に再就職先が内定している場合は、支給対象になりません。
退職と同時に次の勤務先が決まっている場合や、離職前から内定を受けていた場合は注意しましょう。
再就職手当は、支給決定が下る前に再び離職すると受給できません。
支給が確定するまでは、安定して勤務を継続していることが条件となります。
再就職先で雇用保険の被保険者として雇用されることが条件です。
パートやアルバイトであっても、 週20時間以上の勤務かつ31日以上の雇用見込みがあれば対象となります。
自己都合退職で給付制限期間中に再就職する場合、待期期間終了後1カ月以内の就職は、ハローワークや許可を受けた職業紹介事業者の紹介でなければいけません。
自己応募や知人の紹介での就職では対象外となる可能性があります。
失業保険は生活の安定を支える大切な制度ですが、退職時の対応を誤ると手続きや受給に支障が出ます。
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この記事の監修者
長谷川 義人
東京労働経済組合
労働組合代表
プロフィール
高校を3ヶ月で中退しフリーターとなる。その後、20歳で定時制高校に通い25歳で定時制大学を卒業。
Tech系ITベンチャー企業にてBtoB営業からキャリアをスタートし、独立して代表として経営まで幅広く経験。
現在は「令和ならではの労働問題解決」に取り組むため、労働組合法人東京労働経済組合の代表に就任。
適法運営を徹底する退職代行サービス「退職代行ガーディアン」を運営し、日本の退職問題の改善と人材の最適配置を支える新たな社会インフラの確立に取り組む。
違法な退職代行が横行する業界の健全化にも力を入れており、労働者が安心して「次の一歩」を踏み出せる社会の実現を目指している。