退職を検討している方に向けて、退職届と退職願の違いについて解説していきます。
退職するときは会社に文書を提出するのが一般的ですが、「退職届」と「退職願」の違いをご存知でしょうか?
いざ提出しようとすると、「どちらを選べばよいのか」「違いは何か」と迷う方も少なくありません。
そこで今回の記事では、退職届と退職願の違いについて4つの観点から解説します。
退職の流れについても解説しますので、適切な進め方を確認する際にお役立てください。
退職届とは
「退職届」とは、労働者が「退職します」との 意思を会社に連絡するための書類です。
会社に退職の意思を正式に伝えるために作成されます。
会社は退職届を受け取った時点から、退職のための手続きを進めます。
退職届は、自分の意思を伝えるための文書として位置づけられます。
退職願とは
「退職願」は、労働者が「退職させてください」と 会社に願い出るための書類です。
労働者が一方的に意思を伝えて退職手続きを求めるのではなく、会社に退職の了承を得るために作成されます。
会社の合意を得ることで、合意退職として扱われます。
退職願は、会社に退職の意思を受け入れてもらうことを目的とした文書です。
退職届と退職願の主な違い
退職届と退職願は、いずれも労働者が退職の意思を伝えるための文書ですが、役割や効力に明確な違いがあります。
これから退職届もしくは退職願を作成したいと思われているなら、それぞれの違いについて知っておきましょう。
違い①退職の効力が表れるタイミング
両者の最大の違いは、退職の効力が発生するタイミングにあります。
【効力が表れるタイミングの違い】
- 退職届:提出した時点で退職が決定される
- 退職願:会社が退職を了承したときから効力が表れる
退職届は労働者が会社に対して、退職する旨を通知するための文書です。
そのため会社側が了承しなかったとしても、退職の手続きを進められます。
いわば「半強制的に退職できるもの」です。
しかし退職願は会社に対して、退職の了承を求めるための文書であるため、会社が了承した時点から効力が発揮されます。
反対に言えば、受け取ってもらえなかった場合、退職を了承してもらえなかった場合は何の効力も発揮されません。
退職の効力が表れるタイミングは、両者の大きな違いであると言えるでしょう。
違い②撤回の可否
撤回の可否についても違いがあります。
【撤回の可否の違い】
- 退職届:撤回不可
- 退職願:撤回可能
ひとつ前の項目で解説いたしましたように、退職届は提出した時点で退職が決定されます。
そのためたとえば、翌日に退職届を撤回することはできません。
しかし退職願はあくまでも「会社に退職の了承を願い出る」ことが目的です。
退職願は、 会社の了承が得られるまでの間であれば撤回できます。
撤回の可否の違いは、2つの文書の効力が出るタイミングの違いによるものです。
後で撤回できずに困ることがないよう、事前にどちらを提出するか慎重に判断することが大切です。
違い③書面の内容と書き方
退職届と退職願の次の違いは、書面の内容と書き方です。
【内容と書き方の違い】
- 退職届:退職する月日を明記して断定的に記載する
- 退職願:退職したい旨を希望として記載する
退職届は、労働者が退職を決定したことを通知する文書であるため、退職したい月日を明記し、「退職します」と断定することが必要です。
対して退職願はあくまでも会社側へのお願いの文書。
そのため「退職させていただきたいと思っています」と、希望を伝えるに留めましょう。
退職願は、 退職を希望していることを会社に伝えることが目的です。
退職届のように、退職を一方的に通知するものではありません。
目的が違うため、内容と書き方に誤りがないようにしましょう。
関連記事:退職届の書き方は?トラブルを避けるポイントと提出タイミングも確認
違い④提出の仕方
最後に提出の仕方の違いについて解説します。
【提出の仕方の違い】
- 退職届:強制的な手段を用いても必ず会社側に受け取ってもらう
- 退職願:手渡しで丁寧に渡す
解説してきたように、退職届は退職する強い意思を会社に伝え、退職手続きを進めるためのものです。
そのためもし会社側に受け取ってもらえないようなら、内容証明郵便で提出されることもあります。
内容証明郵便で退職届を送付された場合、会社は受け取らざるを得ません。
一方、退職願は上司に手渡しで渡されることがほとんどです。
退職願を提出する方は「円満に退社する」ことを目的としていることが少なくありません。
そのため内容証明郵便など、強制的な手段にて提出することはないでしょう。
提出方法の違いは文書の性質によるものであるため、目的に応じて適切な文書を選びましょう。
退職届や退職願を提出するまでの流れ
退職届と退職願の違いについて解説してきました。
両者にはさまざまな違いがありましたが、提出するまでの流れについても違いがあります。
両者の流れの違いも理解し、正しく提出できるよう備えておきましょう。
ステップ①退職までのスケジュールを確認する
退職を決めたら、まずは退職までのスケジュールを確認してください。
主な流れは次のとおりです。
【退職までのスケジュール】
- 退職1~3ヶ月前:退職願によって退職の意思を伝えて引き継ぎのスケジュールを確認する
- 退職1ヶ月前:退職届を提出するとともに引き継ぎ業務などの残り業務を行う
- 退職当日まで:退職の挨拶や書類の整理をしたり会社の備品を返却したりする
退職までのスケジュールをしっかりと把握しておくと、円満退社を目指しやすくなります。
円満に退職することで、会社や同僚との関係も良好に保ちやすくなります。引き継ぎやその後の業務にも配慮して進めることが重要で。
以上のことも踏まえたうえで、退職までのスケジュールを確認してください。
関連記事:退職前に有休消化したい!よくあるトラブルを防ぐコツと対処法
ステップ②退職願を作成し上長に相談する
次は退職願を作成して上長に相談するステップです。
提出先は、通常は直属の上司です。
退職願を作成する際に注意したいことは、会社によって退職願のフォーマットが用意されていることがある点です。
就業規定や社内規定によって、提出期日が決められていることもあります。
ルールを遵守しながら退職願を作成し、直属の上司に提出してください。
関連記事:退職の引き止めは違法?しつこいときの対処法や法的根拠を解説
ステップ③退職届を作成・提出する
退職願によって退職が了承されたら、次は退職届を作成し、提出しましょう。
先にも解説しましたが、退職届には退職日と「退職する」ことを明記します。
提出先は会社によって違います。
人事部であることもありますし、退職願と同じように直属の上司であることもあるでしょう。
事前に確認しておくとスムーズに提出できます。
退職届を提出した後は、速やかに退職に向けた準備を進めましょう。
スムーズに退職するために意識したいポイント
スムーズに退職するには、退職の流れとともに退職のポイントを知っておくことも大切です。
以下の4つのポイントを意識することで、円滑な退職手続きにつながります。
ポイント①退職の意思を早めに伝える
まずは退職の意思は早めに伝えるようにしてください。
退職を希望したらすぐに受入れられるわけではありません。
民法では雇用契約解約日の2週間前に申し出る必要があると記載されています。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
民法に従うなら、退職日の2週間前に提出すれば良いことになります。
ただし実務上は、2週間で手続きが完了しないケースも少なくありません。
退職願を提出したら、会社からの了承を得るまでに一定の時間がかかるはずです。
引き継ぎのための期間も必要となりますし、提出から2週間後に退職できるわけではないかもしれません。
有給休暇を消化したり顧客に挨拶に行ったりする必要が生じることもあります。
そのためスケジュールに余裕を持たせて、 退職希望日よりも1~3ヶ月前に退職願を提出すると良いでしょう。
関連記事:退職の意思は何ヶ月前に伝えるべき?法律上のルールも紹介
ポイント②閑散期に退職を申し出る
ふたつめのポイントとして、退職を願い出るのはできるだけ閑散期にしてください。
繁忙期は業務量が多く、さらに引き継ぎなどの業務が重なると会社に迷惑をかけてしまうことになります。
たとえば不動産業界であれば、2~4月が繁忙期で、7~8月が閑散期であると言われます。
新生活が始まる時期は業務が集中するため、通常業務だけでも多忙になる傾向があります。
7~8月の業務量が少ない時期に退職するとよりスムーズとなります。
業種や業界によって繁忙期・閑散期は変わるでしょうが、一般的には12月と3月に退職者が増える傾向です。
年末・年度末の区切りがあるときですので、退職しやすいのが理由でしょう。
その他、明らかな閑散期がある業界であれば、閑散期内での退職を目指してください。
ポイント③退職届や退職願の書き方を工夫する
退職届や退職願の書き方を工夫することもポイントのひとつです。
いずれも書くときのポイントは「 丁寧かつ明確な表現にすること」。
曖昧な表現は誤解を招き、意思疎通の不備につながる可能性があります。
また丁寧な表現を心がけると心象がよくなり、退職の手続きもスムーズに進む可能性が高くなるでしょう。
もし書き方がわからなければ、人事部に相談するのもおすすめの方法です。
適切なフォーマットを用意して、誤解が生じないように丁寧かつ明確な表現を心がけてください。
ポイント④退職の準備を徐々に進めておく
退職日が近づいてから慌てないよう、余裕を持って準備を進めておきましょう。
たとえば書類やファイルの整理をして引き継ぎしやすくしたり、同僚に担当業務のポイントを伝えておいたりなどがあげられます。
退職が決定する前に少しずつ進めておけば、引き継ぎ業務への負担が軽減されて、余裕のある状態で退職できるはずです。
準備は早く始めるに越したことはありません。
少しずつ退職の準備を進めておきましょう。
関連記事:退職代行を使えば引継ぎしないで辞められる?リスク回避の方法を解説
退職届と退職願の違いを踏まえてスムーズな退職を
いかがでしたでしょうか?
本記事では、退職届と退職願の違いや提出の流れ、注意点について解説しました。
退職願は退職の意思を伝える文書、退職届は退職を正式に通知する文書です。
ただし退職届と退職願の違いを知っても、ご自身だけでの退職が難しいこともあるでしょう。
わたくしども退職代行ガーディアンは、労働組合であるため退職に関する職場との交渉にも対応できます。
過去に退職に失敗したケースは一度もありません。
退職の進め方に不安がある場合は、退職代行ガーディアンまでお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
長谷川 義人
東京労働経済組合
労働組合代表
プロフィール
高校を3ヶ月で中退しフリーターとなる。その後、20歳で定時制高校に通い25歳で定時制大学を卒業。
Tech系ITベンチャー企業にてBtoB営業からキャリアをスタートし、独立して代表として経営まで幅広く経験。
現在は「令和ならではの労働問題解決」に取り組むため、労働組合法人東京労働経済組合の代表に就任。
適法運営を徹底する退職代行サービス「退職代行ガーディアン」を運営し、日本の退職問題の改善と人材の最適配置を支える新たな社会インフラの確立に取り組む。
違法な退職代行が横行する業界の健全化にも力を入れており、労働者が安心して「次の一歩」を踏み出せる社会の実現を目指している。

