退職を検討している方に向けて、退職後の手続きについて解説していきます。
会社を辞めると、さまざまな手続きが必要になります。
「退職後に会社に行く必要があるのか」「どのような手続きが必要か」と不安を感じる方も少なくないでしょう。
今回は、退職に伴う5つの手続きと退職に関する一連の流れをご紹介します。
本記事を参考に、退職後にどのような準備が必要かを把握していただけます。
退職後に行うべき手続き
ここからは、退職後に必要な手続きを順を追って解説します。
退職をするとさまざまな公的手続きが必要となります。
それぞれの手続きについて詳しく解説していきますが、まずは次の表をご覧ください[1][2]。
| 手続き | 行う時期 | 手続き場所 |
| 住民税納付方法の切り替え | 退職日前後 | 会社 |
| 雇用保険の申請 | 退職後すぐに | ハローワーク |
| 年金の切り替え | 退職後14日以内 | 市区町村役場配偶者の勤務先 |
| 健康保険の切り替え | 国民健康保険:退職後14日以内家族の扶養:退職後5日以内任意継続:退職後20日以内 | 市区町村役場配偶者の勤務先 |
| 所得税納付方法の確認・変更 | 年内に雇用されなかったとき | 税務署 |
代表的な手続きは上記5つですが、行う時期についてはそれぞれ規定があります。
基本的には、表の上から順に手続きを行うことで、スムーズに進められます。
手続きに抜け・漏れがあると後々困りますので、下記の5つのポイントをチェックしながらすべての手続きを行ってください。
それではそれぞれについて解説していきます。
手続き①健康保険の切り替え
健康保険の切り替えとは、退職後も保険の保障を受け続けるための手続きを指します。
会社に雇用されているのであれば、協会けんぽや健康保険組合に加入していたことでしょう。
しかし退職すると雇用期間中に加入していた健康保険での被保険者資格が失われます[2]。
そこで引き続き健康保険を利用するには、次の3つのいずれかを選択しなければなりません。
【退職後の健康保険の選択肢[2]】
- 会社の健康保険を任意継続にて引き続き利用する
- 国民健康保険に加入する
- 健康保険加入者である家族の扶養に入る
引き続き、同じ健康保険を継続させることもできますが、 継続できるのは退職日から最大2年間のみです。
そのほか、家族の扶養に入る方法や国民健康保険に加入する方法も選択肢です。
もし退職の際に次の転職先が決まっているなら問題ありませんが、転職先が未定の場合は、速やかに健康保険の切り替え手続きを行う必要があります。
手続き②年金の切り替え
続いては年金の切り替えについてです。
会社に雇用されているなら、ほとんどの方が厚生年金に加入しています。
厚生年金は企業に属しているときのみ加入できるものなので、退職したら国民年金に切り替えなければなりません。
健康保険のようにすでに転職先が決まっている場合は、引き続き転職先で厚生年金に加入できるでしょう。
転職先が決まっていない場合は、退職後に国民年金への切り替えが必要です。
切り替えには次の3パターンがあります。
【退職後の年金の切り替えパターン[3]】
- 配偶者がいて配偶者の被扶養者となる場合:国民年金第3号被保険者となる
- 配偶者がいて配偶者の被扶養者とならない場合:国民年金第1号被保険者となる
- 配偶者がいないもしくは配偶者が厚生年金に加入していない場合:国民年金第1号被保険者となる
国民年金第1号被保険者となる場合は、市区町村役場に行って手続きを進めてください。
しかし第3号被保険者となるなら、扶養者となる配偶者の勤務先にて手続きを進めるようになるでしょう。
自身の状況に合ったパターンを確認し、適切な手続きを進めることが大切です。
ちなみに健康保険と年金の切り替え手続きは、どちらも市区町村役場にて行えます。
もし被扶養者とならないのであれば、いずれも 退職後14日以内の手続きが必要となるため、同時に済ませておくとスムーズです。
退職をしたら年金の切り替え手続きも忘れずに行いましょう。
手続き③雇用保険の申請
退職後の生活を安定させるためには、雇用保険の申請が重要です。
ハローワークに行って基本手当の受給申請を行うと、定められた時期から失業手当を受け取れるようになります。
こちらもすでに転職が決まっているなら手続きをする必要はありません。
退職後に転職活動を行う予定がある場合は、生活費を確保するためにも申請が必要です。
雇用保険申請では「雇用保険被保険者離職票」が必要となります[4]。
あとは個人番号確認書類と身元確認書類、キャッシュカードもしくは預金通帳を持参すれば手続きが可能です[4]。
会社から雇用保険被保険者離職票を受け取った時点でハローワークにて求職の申込みを行って、雇用保険被保険者離職票を提出してください[4]。
申請を行った後は失業の認定が行われ、さらに特定の待機期間を経た後に失業手当を受け取れるようになります。
待機期間は離職の理由や状況によって変わるため、詳しくはハローワークでお聞きください。
雇用保険の申請は、 申請が行われた時期から始まり、最長退職した翌日から1年しか受給できません
[4]。
退職後すぐに転職するつもりであっても、もしかすると転職活動が難航することも考えられます。
ともすると1年以上の期間がかかるかもしれません。
申請が遅れると受給額が減る可能性があるため、退職後は早めに手続きを行いましょう。
関連記事:退職後に失業保険を受け取るには?必要な手続きや流れを解説
手続き④住民税の納付方法の切り替え
退職後は、住民税の納付方法も忘れずに確認・切り替える必要があります。
企業に雇用されていると、給与から自動的に住民税が差し引かれているはずです。
しかし退職したとなると、自動的に住民税が支払われることはありません。
もし退職後1ヶ月程度で転職先に勤務できる場合、特に手続きをしなくても問題ないでしょう[1]。
しかし1ヶ月以上雇用されていない期間が続くようであれば、ご自身で納付していく必要があります[1]。
ただし次のように、退職の時期によって選べる納付方法が変わります。
【納付方法の違い】
- 退職時期が1~5月:給与から一括払いされる
- 退職時期が6~12月:給与からの一括払いもしくは納付通知書にてご自身で納付する
住民税は1年間の税金を、6月1日から翌年5月31日までに納税する制度です。
そのため、一括払いか毎月払いのいずれかを選択できます。
しかし6月から12月に退職した場合、一括払いだと納付金額が多くなってしまいます。
そのため給与からの差し引きで一括払いにするか、納付通知書にて毎月支払うかを選べる仕組みです。
退職後の生活のことも考え、どのように納付すべきか検討したうえで選択しましょう。
手続き⑤所得税の納付方法の確認・変更
最後に、所得税納付方法の確認・変更も退職後に必要な手続きのひとつです。
所得税とは年間の所得に対して課せられる税金のことで、雇用されている場合は年末調整によって自動的に納付・還付されます。
しかし企業に雇用されていなければ、ご自身で行わなければなりません。
この場合は、確定申告が必要となります。
確定申告を行わなければならないのは、退職した年の12月31日時点で企業に雇用されていない場合。
12月31日までに転職が決まっていれば、転職先で年末調整を受けることが可能です。
転職が決まらなかった場合は、年間の確定申告にて年間の所得を申告しなければなりません。
確定申告は毎年、翌年の3月15日前後までが提出期限となっています。
期限に遅れると追徴課税が発生する可能性や還付が受けられない場合もあるため、必ず期限内に提出してください。
退職時に会社から受け取るもの
退職に伴った手続きを進めるために必要となるのが、企業から受け取る各種書類です。
受け取りを忘れると、必要な手続きが進められなくなる可能性があります。
特に次の5つの書類は必ず受け取っておきたいものです。
受け取り忘れがないように、事前に確認しておきましょう。
①雇用保険被保険者証
「雇用保険被保険者証」とは、雇用保険に加入していることを証明するためのものです[5]。
カードサイズの小さな紙が横2連になっている形状です。
左側に「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」、右側に「雇用保険被保険者証」と記載されています[5]。
失業手当の受給や職業訓練など、雇用保険制度を利用するために必要となる書類です[5]。
また転職の際にも必要となります。
多くの場合、会社が保管しているでしょう。
会社が保管している場合は、退職に伴って返還されるので大切に保管してください。
もしご自身で保管していて紛失した場合は、喪失届をハローワークに提出することにより、再発行してもらえます。
退職前に紛失が発覚した場合は、会社に相談することによっても再発行が可能かもしれません。
退職後の手続きに必要となるため、会社に預けている場合は忘れずに受け取りましょう。
②源泉徴収票
源泉徴収票も必ず受け取っておきたい書類のひとつです。
1月1日から12月31日までに、給与所得を受け取ったなら必ず源泉徴収票を受け取れます。
退職日から1ヶ月以内には受け取れるでしょう。
しかし源泉徴収票は、1年間の給与総額を予想したものでしかありません。
税額は見込みの給与総額に基づいて計算されています。
そのため源泉徴収票を会社から受け取ったら、新たな転職先に提出して追加で税金を支払ったり、還付を受けたりする必要があります。
もし年内に転職先が決まらなかった場合、ご自身で確定申告を行う際に源泉徴収票を使ってください。
年間の税金の金額を確定させるために必要な書類ですから必ず受け取ったかどうか確認しましょう。
③離職票
「離職票」は失業手当や失業手当を受け取る際に必要となる書類です。
ハローワークへの提出が必要となります。
ハローワークに行くと申請によって失業手当を受けられるようになりますが、その際に必要となるのが離職票です。
理想的には 退職前に会社に発行を依頼しておくと、スムーズに受け取れるでしょう。
発行までには時間がかかるため、退職後に依頼すると失業手当を受け取れるようになるのが遅れることがあるためです。
ただし退職時点で次の転職先が決まっている場合は、失業手当を受け取ることはないでしょうから離職票も必要ありません。
もし失業手当を受け取りながら転職活動を進めたいと思っているなら、離職票を早めに受け取るようにしましょう。
④退職証明書
転職する際に必要となることがあるのが「退職証明書」です。
会社を退職した事実を証明するための書類であり、転職した会社に提出しなければならないことがあります。
退職証明書は公的な書類ではありません。
勤務先であった会社が発行するものであるため、すぐに受け取れることがメリットです。
さらに国民健康保険の加入手続きや失業保険の申請にも使えるため、受け取っておくと後々便利でしょう。
離職証明書は必ず必要なものではありませんが、受け取っておくと便利なシーンがあると考えられるため可能であれば、事前に受け取っておくと安心です。
⑤年金手帳
会社に年金手帳を預けている場合は、退職の際に必ず受け取るようにしてください。
年金手帳には、それまでの雇用先にて支払われた厚生年金の記録が残されています。
入社時に会社へ提出し、そのまま保管されている場合もあります。
退職後の手続きにおける年金の切り替えに必要となります。
年金手帳は厚生年金に加入しており、支払った実績があることを証明する大切なものです。
もし手元にないようであれば、退職の際に返却してもらうよう求めましょう。
退職に関する手続きの流れ
退職をするにあたって必要な手続きはたくさんあります。
これから退職を検討しているなら、手続きの一連の流れを把握しておくと手続きをすべき順番がわかりやすくなるはずです。
ステップ①退職の意思表示を行う
退職をするためには、最初に退職の意思表示を行わなければなりません。
退職願を作成して、直属の上司に提出することによって意思表示を行えます。
その後の手続も考えて、 希望退職日の1~3ヶ月前に行うと良いでしょう。
もし就業規則や社内規定に退職に関する記載があったなら、記載通りの時期に行ってください。
いずれにしても、退職の意思表示は早いほうがトラブルになりません。
早めに行えば引き継ぎなどの業務にも余裕が生まれるでしょうし、会社への負担も軽減されるはずです。退職を決めたら、できる限り早めに退職の意思表示を行ってください。
関連記事:退職の意思は何ヶ月前に伝えるべき?法律上のルールも紹介
関連記事:退職の引き止めは違法?しつこいときの対処法や法的根拠を解説
ステップ②退職届を提出する
退職の意思表示を行ったら、退職届を提出します。
退職届は退職願と違って、「退職する月日」や「退職する旨」を明確に記載する文書です。
したがって「退職することを通知する文書」であると言えるでしょう。
退職日の1ヶ月前くらいに提出できると理想的です。
しかし退職届は必ず提出しなければならないものではありません。
会社都合の場合は提出されませんし、自己都合であっても省略される場合はあります。
しかし会社によっては、就業規則によって提出が義務付けられていることも。
退職を明確にできるため、問題がなければ提出したほうが良いと考えられます。
1ヶ月前になったら、退職届を提出することによって退職を確定させましょう。
関連記事:退職届の書き方は?トラブルを避けるポイントと提出タイミングも確認
ステップ③有給休暇の残数を参考に退職までのスケジュールを確認する
有給休暇が残っているなら、すべて消化できるようにしながら退職までのスケジュールを確認してください。
退職日までに有給休暇をすべて消化する前提でスケジュールを組みます。
その間にすべきことは、業務の引き継ぎや取引先への挨拶など多岐にわたるはずです。
業務を確実に遂行できるよう、あらためてスケジュールを確認しましょう。
関連記事:退職前に有休消化したい!よくあるトラブルを防ぐコツと対処法
ステップ④業務を引き継ぐ
退職日までに必ず行わなければならないのが業務の引き継ぎです。
退職しても会社や同僚が困らないように、ご自身が担当していた業務を後任者に引き継ぐ作業を行いましょう。
後任者に業務のポイントを伝えることはもちろん、引き継ぎ資料を作成しておくとさらにスムーズに進みます。
引き継ぎを終了させるのは、退職日の3日前までとしましょう。
3日前までに引き継ぎを終えておけば、万が一のトラブルにも退職前に対応できます。
退職日当日までにしてしまうと、中途半端な引き継ぎになりかねません。
退職日3日前までに業務引き継ぎを終えられるようスケジュールを立ててください。
ステップ⑤取引先への挨拶を行う
引き継ぎとともに重要となるのが、取引先への退職の挨拶です。
退職日の2~3週間前に済ませておくと良いでしょう。
しかし会社によっては、退職の挨拶を禁止していることもあります。
退職日まで、社員の退職を取引先に伝えるべきではないと考えている企業もあるためです。
挨拶に行くべきかどうか、事前に上司に確認してください。
ステップ⑥最終日に出社する
最終日に出社したら、最後のあいさつをしたり備品の返却・書類受け取りなどを行います。
引き継ぎ作業はほとんど終わっているはずですから、退職の最終段階の業務を終えて終了です。
上司や同僚、先輩、後輩への挨拶もしておきましょう。
ステップ⑦公的な手続きを済ませる
退職をしたらさっそく公的な手続きを済ませてください。
先に解説したように健康保険・年金・雇用保険・税金など、退職に伴って行う手続きは多くあります。
期限に間に合うように、早めに手をつけましょう。
退職時の注意点
最後に退職時の注意点について解説します。
退職後の手続きに困らないように、退職を申し出る前に以下の3つのポイントを確認してください。
注意点①就業規則をきちんと確認する
まずは就業規則を確認しておくことです。
会社によっては、退職に関することを就業規則で規定しているケースもあります。
たとえば退職願・退職届の提出期限などが考えられます。
就業規則に従うと円満退社を目指せるので、事前に就業規則を確認し、その規定通りに退職を進めましょう。
注意点②自身に必要な手続きを整理する
自身に必要な手続きを整理しておくことも大切です。
また退職する方の状況や今後の就職状況によって必要となる手続きが変わります。
退職するとなると引き継ぎ業務や再就職への活動、上司との面談など、行うべきことが次々と現れる可能性があります。
退職前後に必要な手続きを整理し、効率的に行えるようしてください。
注意点③手続きを計画的に進める
手続きは計画的に進めることが最も重要だと言えるでしょう。
退職に伴う手続きは期限が決まっているものもあり、期限内に終わらせなければなりません。
どの手続きが必要であり、いつまでに行うべきかを整理したら、期限が近い順番に行っていくことが重要です。
退職するなら必要な手続きを把握して計画的に
いかがでしたでしょうか?
この記事では、退職後に必要な手続きと進め方の流れについて解説しました。
退職をするとなると公的手続きが多く必要となるため、計画的に進めることで、退職後の手続きもスムーズに完了できます。
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[1]参照:厚生労働省:(PDF)会社を退職後にやることガイド
[2]参照:こころの耳:第9回 病気で退職する社員の退職後の社会保険は?
[3]参照:日本年金機構:会社を退職したときの国民年金の手続き
[4]参照:ハローワークインターネットサービス:雇用保険の具体的な手続き
[5]参照:厚生労働省:(PDF)雇用保険の被保険者のみなさまへ
この記事の監修者
長谷川 義人
東京労働経済組合
労働組合代表
プロフィール
高校を3ヶ月で中退しフリーターとなる。その後、20歳で定時制高校に通い25歳で定時制大学を卒業。
Tech系ITベンチャー企業にてBtoB営業からキャリアをスタートし、独立して代表として経営まで幅広く経験。
現在は「令和ならではの労働問題解決」に取り組むため、労働組合法人東京労働経済組合の代表に就任。
適法運営を徹底する退職代行サービス「退職代行ガーディアン」を運営し、日本の退職問題の改善と人材の最適配置を支える新たな社会インフラの確立に取り組む。
違法な退職代行が横行する業界の健全化にも力を入れており、労働者が安心して「次の一歩」を踏み出せる社会の実現を目指している。

